
「最近抜け毛が増えてきた」、「親戚の男性がことごとくハゲている」、「おでこが広がってきた気がする」などといった理由で、将来的なAGAを予防したいと考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、世の中の中高年の男性の髪の毛を見てみると、多くの人が薄毛の状態になっています。簡単な方法で薄毛を予防することができるのであれば、そんな状態にはならないような気もします。
AGAは遺伝であり、諦めるしかないと考えている人も多いようです。実際のところAGAは予防することが可能なのでしょうか?この記事では検証してみたいと思います。
AGAは予防できるのか?
将来的なAGAが気になっている人がもっとも知りたいのは、そもそもAGAを予防することが可能なのかどうかということです。
AGAを予防することが可能なのであれば、その方法を実践すれば将来的なAGAを回避することができますし、AGAを予防することが不可能なのであれば、あきらめるしかありません。
インターネットなど見ると、頭皮のマッサージやシャンプー方法の改善、食生活の改善、禁煙、ストレスの発散など、様々なAGAの予防方法が書かれていますが、ほんとにそれらは正しいAGAの予防方法なのでしょうか。
AGAを予防することは可能!
結論から言えば、AGAを予防することは可能です。しかも、今回の記事でお伝えする方法を使用すれば、90%以上の確率でAGAを予防することができます。
ただし、その方法はインターネットなどによく書かれている頭皮のマッサージをして血行を促進させるという方法や、シャンプーの仕方を変える方法、食生活を改善する方法、禁煙する方法、ストレスを発散する方法などではありません。
それらの方法は、さも高い効果があるように書かれていますが、AGAのメカニズムというものをしっかりと理解すれば、ほとんど関係がないということがわかるでしょう。AGA以外の一部の脱毛症には効果がありますが、AGAとは関係がありません。
では、始めにAGAのメカニズムがどのようなものなのかを見てましょう。
AGAのメカニズム
AGAのメカニズムは、一般の方が思っているものより少し複雑です。「紫外線でハゲてしまう」であるとか、「ストレスでハゲてしまう」といったことはAGAに関してはありません。
AGAのメカニズムを簡単に解説すると、「ホルモンが毛根を攻撃して脱毛引き起こしてしまう」ということです。
これをもう少し詳しく説明してみましょう。
人の体の中には、男性にも女性にも男性ホルモンというものが存在します。名前の通り、男性に多く分泌されています。その男性ホルモンの代表的なものにテストステロンというものがあります。テストステロンは、筋肉を作ったり、前向きな考え方をする思考を助けたりするため、「男らしさのホルモン」とも呼ばれます。
テストステロン自体に、髪の毛を抜いたりする要素はないので、「男性ホルモンが薄毛を促進させる」と考えている人は、まずそれが間違いであると認識した方が良いでしょう。
むしろ、テストステロンは人の体にとっては大切な役割をたくさんこなしてくれるホルモンなので、減らすのはよくありません。テストステロンとAGAが結びつくのは、もっと間接的な部分です。血液の中に混ざったテストステロンが、頭皮の毛細血管を通り毛根に到達したとき、5αリダクターゼという還元酵素と結びつき、ジヒドロテストステロンという悪玉ホルモンに変身するためです。
ジヒドロテストステロンは、毛根内部のアンドロゲンレセプターというホルモン受容体に受け取られると、毛乳頭細胞の核へ移動し、TGF-βという脱毛促進因子を発生させます。
通常、毛乳頭細胞は髪の毛に成長を促進させる成長因子を発することによって、髪の毛の成長シグナルを出しますが、このTGF-βはそういった成長因子と逆の働きをするため、3年から5年成長して数ヶ月休むという本来のヘアサイクルを無視して、成長期間が数ヶ月という状態で脱毛させてしまうのです。これが繰り返されることにより、髪の毛の全体量が減ってしまうということがAGAの全貌です。
確実なAGA予防は、フィナステリドの服用
AGAのメカニズムについてご理解いただけたと思います。
ここでわかっていただきたかったのは「AGAは外的な要因によって引き起こされるタイプのものではなく、ホルモンなど内的な要因によって引き起こされるものである」ということです。
ということは、AGAを予防するためには体の中から変えていかなければならないということです。
体の中から変えると言うと、「食生活を改善すればいいのか」と考えてしまうかもしれませんが、そうではありません。食事を変えるというのは、単純に体内に取り入れる栄養素の種類を変えるということです。それだけでは体の中で発生する悪玉ホルモンの量を変えることはできません。そもそも、前述のようにテストステロンの量を減らすというのは、健康の面から見てもお勧めできません。
そこで、最も効果的でおすすめなAGAの予防方法は、フィナステリドの服用です。
フィナステリドとは?
フィナステリドは、2005年に日本で発売されたプロペシアというAGA治療薬の主成分です。
治療薬ということは、すでにAGAになってしまった人がその症状を治療するために服用する薬ということです。
「AGAの予防がしたいのに、初めから治療薬を使用しなければいけないのか」と考える人もいるかもしれませんが、フィナステリドのメカニズムから考えると、治療というよりも、むしろ予防に役立つ成分がフィナステリドなのです。
フィナステリドがAGA予防になるメカニズム
フィナステリドは、一般的な育毛剤の使用方法で思いつくような、頭皮に塗布して使うものではありません。
内服薬、つまり飲み薬です。フィナステリドは、腸で吸収され、血液の中に入ると、全身に行き渡ります。そして、頭皮の毛細血管にフィナステリドが到達すると、5αリダクターゼとフィナステリドの成分が結合します。
AGAのメカニズムの項目でお伝えした通り、悪玉ホルモンであるジヒドロテストステロンは、5αリダクターゼとテストステロンが結合することによって生まれます。フィナステリドは、そのテストステロンと非常によく似た分子構造をしているため、5αリダクターゼがテストステロンと勘違いして結合してしまうのです。
すると、結果的にジヒドロテストステロンが生まれなくなるため、男性型脱毛症の進行をストップさせるのです。つまり、フィナステリドは発毛を促進するための成分ではなく、AGAの進行をストップさせるための成分だということです。この薬の特徴からも、フィナステリドがAGAの予防に効果的であるということがわかっていただけたのではないでしょうか。
育毛剤の使用はAGAの予防になるか?
AGA を予防しようと考える方は、まず始めに育毛剤の使用を視野に入れるのが良いのではないでしょうか。
インターネットでAGAの治療や薄毛の予防を検索すると、必ずといっていいほど育毛剤が紹介されています。確かに、育毛剤には脱毛を予防する作用や、発毛を促進する作用が含まれますが、フィナステリドの服用に比べれば、AGAを予防する効果は少ないです。とはいえ、その効果はゼロではありませんので、使ってみる価値はあります。
ただし、その育毛剤に配合されている成分によって、AGA予防の効果が見込めるものと、そうでないものがあります。
ジヒドロテストステロンの生成を止めるものなら予防になる
育毛剤の配合成分の中には、5αリダクターゼの働きを阻害し、ジヒドロテストステロンの生成量を少なくするものがあります。医薬部外品として発売されている育毛剤の中には、オウゴンエキスや、ヒオウギエキスと言った5αリダクターゼをブロックする働きをもつ植物エキスが配合されているものがあります。
それらのエキスに、どれだけの予防効果があるのかというのは、臨床実験などのデータが存在しないため、確実なことは言えませんが、本当に5αリダクターゼの働きが阻害されるのであれば、AGAの予防に繋がるでしょう。
フィナステリドは飲み薬で、しかもホルモンに作用する薬品であるため、その副作用が懸念されています。「副作用を起こさずに安全に予防したい」という場合は、育毛剤を使用するのもアリかもしれません。
そういった育毛剤には、その他にも、殺菌作用や保湿作用など、頭皮環境を整える作用を持った成分がたくさんの種類配合されているので、炎症性の脱毛症や、脂漏性の脱毛症を防ぐことができるでしょう。
発毛促進作用の育毛剤は、フィナステリドとの併用がよい?
育毛剤といえば、多くの方がまず思いつくものにリアップがあるのではないでしょうか。リアップは、ミノキシジルという発毛促進成分が配合されている育毛剤で、第1類医薬品に分類されています。確かにミノキシジルには発毛を促進する作用があります。しかし発毛促進成分だけを使用したとしても、AGAの予防にはなりません。
メカニズムの項目でお伝えしたように、AGAは、髪の毛が成長し始めて間もない間に、すぐに脱毛促進因子が髪の毛を抜いてしまうという症状です。そのため、発毛を促進する育毛剤を使って、髪の毛を成長させたとしても、結局すぐに抜けてしまうのです。そのため、まずはフィナステリドのようなAGAの進行をストップさせるAGA治療薬や、育毛剤を使用し、その上で発毛促進の効果があるミノキシジルを使用した方が良いのです。
ある程度髪の毛が生えている状態で、「将来的な抜け毛を予防したい」というのであれば、ミノキシジルを使用する必要はないでしょう。
まとめ~AGAの予防はフィナステリドを中心に考えるのが効果的!~
科学的な根拠に基づき、論理的にAGAを予防すると考えるなら、フィナステリドを主成分とした医薬品を摂取するということが最も効果的です。フィナステリドはAGA治療薬や皮膚科でも処方してもらえる医薬品です。
「まだ髪の毛が生えているのに、医薬品を使うのは気が引けるし、副作用が怖い」という場合は、5αリダクターゼの活動を阻害する働きを持ったオウゴンエキスやヒオウギエキスなどが配合されている医薬部外品扱いの育毛剤を使用するのも良いでしょう。
ただし、フィナステリドと比較すれば効果の程は非常に緩やかなものなので、使用したとしてもAGAが進行する可能性はあります。育毛剤を使用した上でAGAの進行を察知したら、フィナステリドに切り替えることを視野に入れた方が良いでしょう。