
お風呂上りに気持ちよくドライヤーで髪の毛を乾かして、ふと下を見ると大量の髪の毛が落ちていて呆然としたという経験はありませんか?男性の中には、ドライヤーの後の抜け毛の量に悩みを持っている方も多いでしょう。
そんな時に気になるのは、「ドライヤーの当て方に問題があって抜け毛が多いのではないか?」ということです。もし抜け毛の量とドライヤーの当て方に関係があるのであれば、すぐにでも改善したいですよね。
そこで今回は、ドライヤーと抜け毛の関係性や、正しいドライヤーの当て方についてお伝えしていきます。
ドライヤーで抜け毛は増えない!
いきなり結論を書いてしまいますが、どんなドライヤーの当て方をしたとしても、それによって抜け毛が増えたり減ったりするということは、ほぼありません。
「そんなはずはない、ドライヤーの時に大量に抜けるあの髪の毛はなんなんだ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんので、そもそもの抜け毛の原因や、もしドライヤーによって抜け毛が増えるとしたらどんな場合なのかということをお伝えします。
抜け毛の原因
一言で抜け毛といっても様々な理由があります。しかし、男性が悩む抜け毛と言えば、9割以上が男性型脱毛症、いわゆるAGAです。このAGAに特化して抜け毛の原因をお伝えすると、その根本的な原因はホルモンです。詳しいメカニズムは省きますが、体内で生まれたホルモンが脱毛促進因子を生み出すために、自然と髪の毛が抜け落ちてしまうのです。
つまり、外側から加わる熱や圧力などといったダメージによって髪が抜けるという事はなく、体の内部で発生するホルモンによって抜け毛は促進されるということです。ドライヤーの熱や風といった要素はAGAの原因にはなり得ないということがわかるでしょう。
1日の抜け毛の本数
日本人の頭髪は平均約10万本と言われています。この10万本のうち、1日平均70本から100本程度が自然に脱毛します。AGAが進行している場合、1日に100本以上の髪の毛が抜けることがあります。
ドライヤーなどで10本や20本程度の髪の毛が落ちていたとしても、それは1日に自然に抜け落ちる髪の毛の、ほんの一部でしかないということです。
もしドライヤーで抜け毛が増えるとしたらどんなとき?
男性型脱毛症をドライヤーが悪化させることはないという説明をしました。すると「男性型脱毛症ではない、別の理由で抜け毛が発生するのではないか?」と考える方もいると思います。では、どのようなドライヤーの使い方をしたら抜け毛に発展するのかということを考えてみましょう。
まず考えられるのは、ドライヤーの熱風を頭皮に当てすぎた場合です。熱を頭皮に当てすぎると、過度に乾燥してしまいます。乾燥するとターンオーバーが異常をきたし、まだ完成してない肌の細胞が露出し、痛みやかゆみを引き起こす可能性があります。そうなった際に、患部を触ったり掻いたりしてしまうと、傷口が生まれ、そこから雑菌が入り込み、繁殖し炎症を起こしてしまう可能性があります。
その炎症が悪化し、毛根にまで影響を与えた場合、炎症性の脱毛症を引き起こす可能性があります。ただし、ここまでの異常なドライヤーの当て方をする人はほとんどいないでしょう。また、この場合はドライヤーが直接の原因ではなく、ドライヤーの乾燥が引き金となって、間接的に抜け毛を引き起こしています。
もうひとつ考えられるのは、逆にドライヤーを全くしなかった場合です。頭皮に潜む常在菌は湿気の多い所を好み繁殖するため、濡れたままの状態でいると、湿度の高いところを好むマラセチア菌が繁殖し、炎症を引き起こしてしまいます。そしてその炎症が悪化すると、炎症性の脱毛症を引き起こす可能性があります。ただしこれも、確率的にはほとんど発生しない「万が一」のようなケースです。
それよりもドライヤーをしないことによって引き起こされるデメリットは、髪の毛のキューティクルが開いた状態で保持されるため、髪の毛自体がダメージを受けて、枝毛や切れ毛を引き起こしてしまうということです。これは抜け毛とは別物です。このように考えていくと、ドライヤーによって引き起こされる抜け毛というのは、ほとんど気にしなくてもいいレベルでしか発生しないということがわかるでしょう。
なぜドライヤーで抜け毛が増えたと感じてしまうのか?
ドライヤーと抜け毛に関係性が無いということがわかりました。しかし、多くの人はドライヤーをすることによって髪の毛が抜けてしまうという恐怖感を持っています。これはなぜなのでしょうか。
ドライヤーのタイミングは抜け毛をよく見るタイミング
最も大きな理由は、ドライヤーをしたタイミングが最も抜け毛を多く見掛けるタイミングだからです。普段の生活をしている中で、1本や2本パラっと髪の毛が抜け落ちるということはあるでしょう。しかしドライヤーの際には短時間にまとまって10本や20本という大量の髪の毛が抜け落ちます。
これは、本来自然に抜け落ちるべき髪の毛が「他の髪の毛と絡まって頭皮に乗っかっているだけ」という状態になっており、シャンプーの最中も水の力でくっついていたものが、ドライヤーによって乾燥して、くっつく力がなくなり、地面に落ちたというだけなのです。
そのため、ドライヤーが何らかの作用を及ぼして髪の毛を抜いたというわけではありません。もし気になるのであれば、抜け落ちた髪の毛を拾って、その毛根をよく観察してみてください。よく見ると毛根の先がこん棒のような形に丸まっていると思います。これは棍状毛といって、ヘアサイクルで言えば休止期の状態にあたる髪の毛です。つまり、寿命を全うして抜け落ちるのを待っているだけの髪の毛だということです。
逆に、外からの力が加わり無理やり抜かれてしまった髪の毛は、先端が細くなっていたり鉤爪のような形になっていたりします。これを萎縮毛といます。
試しに、今生えている髪の毛を1本抜いてみてください。その先端は萎縮毛になっているはずです。もしドライヤーの影響で髪の毛が抜けてしまうのだとしたら同じように萎縮毛になっているはずです。しかしそれが棍状毛なのであれば、元からその髪の毛は抜けるべくして抜ける髪の毛だったということがわかるはずです。
高温が頭皮に当たることが不安
ドライヤーのタイミングで大量の抜け毛が無かったとしても、日常生活では感じないような熱風を頭皮にて当てるということに抵抗を感じる人や、それが抜け毛につながるのではないかと不安に思っている人も多いと思います。確かにドライヤーは頭皮の表面に、日常生活では考えられないような温度の風を送ります。
しかしそれはあくまでも頭皮の表面の部分に当たる風です。よほど集中的に風を当て続けなければ、毛根が存在している場所までその熱は到達しません。熱によって毛根が死んでしまうという現象は確かにありますが、それは一生痕が残るような大火傷した場合です。ドライヤーの熱で毛根が死んでしまうということはありません。
美しい髪の毛をキープする正しいドライヤーの方法
ここまでで、抜け毛の量とドライヤーに関連性はないということがわかっていただけたでしょうか。しかし、美しい髪をキープするためには、ドライヤーは非常に大切な要素を持っています。
ドライヤーと薄毛の関係が気になっているということは、髪の毛やヘアスタイルに強いこだわりや関心があるということでしょう。そこでせっかくなのでここからは、美しい髪の毛を保つための正しいドライヤーの方法をお伝えします。
タオルドライ
お風呂から出たらまずはタオルで髪の毛を乾かします。ゴシゴシと強くこすったり、髪型がぐしゃぐしゃになるような不規則な方向性にタオルを動かしたりしてはいけません。髪の毛にはキューティクルというものが存在し、表面を保護しています。そしてそれは魚の鱗のような形をして髪の毛の表面を覆っています。
髪の毛の根元から先端に向けてタオルを動かしていけばキューティクルに対して平行にタオルが動く形になるので、ダメージは少なくて済みます。しかし、逆に毛先から根元に向けた方向でタオルを動かしてしまうと、キューティクルが剥がれやすくなってしまいます。水分を含んだ髪の毛はキューティクルが開いており、ただでさえ非常にもろい状態です。
そこでそのようなタオルの当て方をすると乾燥した後で枝毛や切れ毛になってしまいます。髪の毛の根元をタオルではさむようにして、そのまま毛先にタオルを移動させるという乾かし方が良いでしょう。
襟足からかける
ある程度タオルドライで髪の毛を乾かすことができたら、次は実際にドライヤーを当てていきます。最初は温風で襟足からスタートします。襟足は髪の毛の中でも最も乾きにくい場所なので、重点的にドライヤーの風を当てていきましょう。乾きにくいからといって、ドライヤーと髪の毛の距離を近づけすぎないようにしてください。
10センチから20センチ程度は離して使いましょう。乾きにくいからといって髪の毛をドライヤーの送風口に直接当てたりしてはいけません。襟足の乾燥が終わったら乾かすポイントを上に移動させていき、最後に前髪を乾かします。
途中から冷風に切り替え
80%程度乾燥できたら、温風ではなく冷風に切り替えましょう。というのも、温風で完全に乾燥させてしまうと、髪の毛に艶が出ないためです。冷たい風を当てることにより、髪の毛の内部に水分が保持されたままキューティクルが閉じるので、髪の毛にハリやツヤが生まれます。また、髪をセットする時も立たせやすくなったり広がりを抑えることができたりするというポイントがあります。
注意点
ドライヤーをあてる際に、同じ部分にばかり集中的に風を当てるのはやめましょう。髪の毛がダメージを受ける原因になりますし、頭皮が乾燥しやすくなります。また、髪の毛が濡れている状態や、ドライヤーの途中でブラッシングをしないようにしてください。ブラッシングは皆さんが思っている以上に髪の毛ダメージを与えますので、完全に乾いた状態でするようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。抜け毛とドライヤーの関係についてお伝えさせていただきました。結論から言えば、この2つに関連性はありません。よほど異常な使い方をしなければ、ドライヤーが原因で抜け毛が引き起こされるということはありません。
むしろ、ドライヤーをする際に気をつけなければいけないのは、髪の毛それ自体のキューティクルを破壊しないかという部分です。美しい髪を保つためにも、今回ご紹介しているドライヤーの方法を参考にしてください。