ヘアカラーをしても抜け毛は増えない!その根拠は?

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20年ほど前に比べて、ヘアカラーはかなり一般的なものになってきました。女性のほとんどはヘアカラーをした経験があるでしょう。男性も社会人になれば黒髪で落ち着くことが多いですが、学生時代に髪の毛を染めていたことがあるという人も多いでしょう。

そんな時に気になるのが、ヘアカラーと抜け毛の関係です。女性の方で若い頃からずっとヘアカラーを続けているという場合、ヘアカラーが抜け毛の量と関係しているのであれば、将来的な薄毛が気になりますよね。

また男性の方で薄毛が気になりだした場合、「学生の頃に髪の毛を金髪にしていた過去が現在に影響を及ぼしているのではないか」など、気になるところです。そこで今回は、ヘアカラーが薄毛にどのような影響を与え、抜け毛と関係性があるのかどうかを調査しましたので、お伝えしていきます。

ヘアカラーとは

ヘアカラーと抜け毛の関係性について考える前に、そもそもヘアカラーとは一体何なのかということや、一言でヘアカラーにと言っても様々な種類があるので、ヘアカラーにはどのようなものがあるのか、そしてそれぞれの仕組みについてお伝えしていきます。

ヘアカラーの種類

ヘアカラーには脱色剤と酸化染毛剤、非酸化染毛剤、半永久染毛料、一般染毛料の5種類があります。このうちの脱色剤と酸化染毛剤、非酸化染毛剤は医薬部外品にあたります。半永久染毛料と一般染毛料は化粧品にあたります。

これらの名称は一般的ではないので、それぞれ具体例を挙げると、脱色剤はヘアブリーチやヘアーライト、カラーリンスなどです。酸化染毛剤はヘアダイや白髪染、おしゃれ染など。半永久染毛料はヘアマニキュアやカラーリンス、カラートリートメントなど、一般染毛料はカラースプレーやカラースペック、カラーコレクションなのです。

ヘアカラーの仕組み

ヘアカラーの仕組みがカラーリングの種類によって異なりますが、一般染毛料や半永久染毛料については、上から色素を重ねているというシンプルな形です。

医薬部外品扱いのヘアカラーについては、まず脱色剤で髪の毛の色素を抜き、その後酸化染毛剤によって色をつけるという流れになります。

薄毛・抜け毛のメカニズム

次に、抜け毛や薄毛のメカニズムについてお伝えしていきます。上記のヘアカラーと関係がある部分がないか注意しながら読んでみてください。

悪玉ホルモンの影響

薄毛の種類は様々ですが、薄毛の悩みの9割以上が男性型脱毛症と言われています。そのため今回は男性型脱毛症についての原因をお伝えしていきます。男性型脱毛症の原因は一言で言えば悪玉ホルモンです。

男性ホルモンであるテストステロンが、特定の酵素と結びつくことによって生まれる悪玉ホルモンが、毛根の内部で脱毛を促進させる因子を発生させ、「抜けなさい」というシグナルを発し、強制的な脱毛を引き起こしてしまうのです。

しかし、これは強制的な脱毛といっても、外部からの力で無理に抜くというようなタイプではなく、髪の毛の寿命を短くして、本来3年から5年程度成長を続ける髪の毛を数ヶ月で抜けさせてしまうというタイプのものです。

外部からのダメージで抜けるというよりは、毛乳頭細胞の内部にある脱毛促進因子から発生されるシグナルによって自然に抜けてしまうといった考え方が正しいのです。

その他にも様々な脱毛症はありますが、何らかの外的要因によって抜けるというよりは、体の内部から発生される何らかの信号によって髪の毛が抜け落ちてしまうというものがほとんどです。頭皮に何かが付いて、それが抜け毛の原因になるということは、よほど強力で頭皮を溶かしてしまうほどの薬剤が頭にかかり、大やけどを負ってしまった場合などでしか考えられません。

ストレスや食生活の影響はほとんどない?

よく「ストレスによって髪の毛が抜けてしまう」とか、「食生活の偏りによって髪の毛が抜けてしまう」などといった生活習慣に関係した薄毛の原因を解説しているウェブサイトを見かけることがあります。中にはテレビ番組などでも「抜け毛の原因がストレスである」とか「食生活でハゲる」と言われているものもあります。

男性型脱毛症の原因がはっきりとわかっていなかったことや、円形脱毛症の原因がはっきりわかってなかった頃は、ストレスによって髪の毛が抜けてしまうと言われていたり食生活の乱れで髪の毛が抜けてしまうと言われていたということもあります。

しかし、現在はそれらが薄毛の原因になると考えられることはほとんどありません。確かに、サブ的な要因でストレスが抜け毛の原因をさらに強化するということはあるかもしれませんし、育毛治療をしている人の食生活が乱れていれば、本来再生するはずの髪の毛が食生活の乱れが原因でうまく生えてこないといったことも起こる可能性はあります。

しかし、それ単体が原因となって抜けが引き起こされたり、脱毛症が発症したりということはありません。あくまでも体の中で起こる変化が脱毛に影響を与えるのです。

ヘアカラーは抜け毛の量と関係はない!

ここまでの内容を読み頂けばご理解いただけると思いますが、ヘアカラーと抜け毛に関係性はほとんどありません。ほとんどというのは、非常に少ない可能性でヘアカラーを行ったことによって抜け毛が引き起こされてしまう可能性があるからです。

ヘアカラーと抜け毛の関係

ヘアカラーやヘアダイなどといった刺激の強い薬剤を使用することによって、頭皮が接触性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎といった炎症が発症する可能性があります。

通常そういった炎症は頭皮の表面だけで完結するので皮膚の奥にある毛根に影響を及ぼし脱毛を促進させるということは考えにくいです。しかし、もともと毛包炎や皮膚炎などといった皮膚疾患がある状態でアレルギー性接触皮膚炎などが併発した場合、頭皮の奥にある毛根も影響を受け、毛包炎が悪化してその部分の髪の毛が抜けてしまう可能性があります。

このようなことが起こる可能性は非常に低いので、そこまで気にする必要はありませんし、ヘアカラー行う前にパッチテストをすることによって、リスクを軽減することができます。また、もし皮膚炎が原因で髪の毛が抜けてしまった場合も、毛根はそのまま生き続けますので、炎症が治れば自然と髪の毛は生えてきます。

むしろヘアカラーをした方がいい?

ヘアカラーは、その人の個性を強調します。

特に女性の場合は、髪色によって相手に明るい印象を与えたり、知的な印象を与えたり、カラーリングによって相手に与える影響が大きく変わってきます。抜け毛や薄毛を気にしてヘアカラーをしないというのはおしゃれをする上でも、ビジネスをする上でももったいないことです。

むしろ、薄毛が不安な人や、抜け毛を気にしている人こそ思い切ってヘアカラーをしてみるべきです。ヘアカラーをしたところで抜け毛の量がそこまで増えなければ「ヘアカラーをしても大丈夫なんだ」と感じて安心し、精神衛生も良くなります。

ヘアカラーが抜け毛を増やすと思われてしまう理由は?

このように客観的に考えれば、ヘアカラーと抜け毛は繋がらないのですが、それでも未だに多くの人は「ヘアカラーをすることによって髪の毛がダメージを受けて抜け毛が増えてしまう」と考えているようです。それはなぜなのでしょうか。

強い薬品を使用するため

まず考えられるのが、ヘアカラー剤には髪の毛の色を抜いたり、新しい色を着色したりといった強い薬理的効果のある成分が使われているということがあります。

確かに、カラーリング剤は自然界には存在しない刺激の強い物質です。しかし、だからといって、1回や2回ヘアカラーをしただけで髪の毛が抜けてしまうような危険な薬品であれば、厚生労働省が医薬部外品として認可するはずがありません。

医薬部外品扱いで販売されている時点で、一定以上の安全性は保障されていると考えるられるので、カラーリング剤の刺激が頭皮にとって危険であるということはないのです。

髪のダメージ=抜け毛という勘違い

また、ほとんどの方が勘違いしているのは、髪の毛がダメージを受けることによって抜け毛が増えてしまうというものです。育毛を専門に扱っているサイトでも、髪の毛がダメージを受けることが抜け毛につながるということがよく書かれています。

しかしこれは完全に間違いです。というのも、髪の毛の表面に出ている部分というのは角化現象を起こして、細胞としてはもう死んだものなのです。その髪の毛にどんなにダメージが与えられたとしてもそれは信号となって毛根に伝わることはありません。

表面に出ている髪の毛自体にどんなにダメージが変わろうと、逆にどんなに丁寧なケアをしようと、髪の毛の生えたり抜けたりを決定づける毛根には何の影響も与えないのです。ちなみに髪の毛は死んだ細胞であるため、自己補修の力もありません。

一度キューティクルが破壊されれば、それが再生されることはないのです。そのため外部からキューティクルを補修するようなタイプのトリートメント剤が販売されています。

髪の色と肌の色

髪の毛の色を明るくしたことによって髪の毛が薄くなってしまったと感じる人もいるようです。しかしこれも勘違いです。

2005年に日本国内でプロペシアが販売されるようになったときに、プロペシアの販売会社は日本国内の宣伝業者に対して「髪の毛が生えるとは言わないでくれ」と念押しをしました。これはなぜかというと、アメリカで販売した際に「髪の毛が生える」と宣伝してプロペシア売り出したところ、そこまで目に見えた効果が多くの人に現れずに、クレームが相次いだという過去があったためです。

しかし、日本でプロペシアを販売したところ、見た目にも大きな効果が見られました。この違いは何なのかというと、髪の毛の色の違いです。日本人の髪の毛は1本1本が太く黒々としています。そのためプロペシアの効果が少し現れただけでも、肌の色との対比で大きく見た目が変化するのです。

しかし、金髪のアメリカ人は皮膚の色と髪の色が近いため、少し髪の毛が増えたところで見た目にそこまでの変化が現れなかったのです。髪の毛を明るく染めた場合も同様で、肌の色と髪の毛の色のコントラストが少なくなり、薄くなったように見えてしまい「薄毛になったのは髪の毛を染めたせいだ」と勘違いしてしまうのです。

まとめ

このように、薄毛のメカニズムからさかのぼって科学的に考えれば、ヘアカラーによって薄毛が進行するということはありません。もし将来的な薄毛が心配でカラーリングをストップしていたという人は、安心してカラーリングしましょう。

ただし現段階で頭皮に何らかの異常がある人や、極端な敏感肌の人は注意が必要です。カラー寝具によって接触性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎を併発し、それが抜け毛を促進している可能性もゼロではありません。もし不安がある方は美容師さんにお願いしてパッチテストしてもらうと良いでしょう。

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