
抜け毛や薄毛の原因はいろいろありますが、もしかしたら普段使っているシャンプーが抜け毛の原因になっていたり、また、誤った洗髪法によって抜け毛を助長しているかもしれませんよ。
今回の記事では、抜け毛とシャンプーの関係にスポットを当てて紹介していきたいと思います。
1.抜け毛は男性だけの問題ではありません
抜け毛や薄毛というと、つい男性のハゲのことをイメージしてしまうと思いますが、実は女性にも抜け毛や薄毛に悩まされている方は沢山いらっしゃいます。では、抜け毛や薄毛にはどのような種類があるのでしょうか。
男性型脱毛症(AGA)
一般的に、抜け毛や薄毛というと、壮年期以降の男性に見られるハゲ、すなわち男性型脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)が代表的なものだと思います。
男性ホルモンの影響で抜け毛が増えたり、乱れた生活習慣によって抜け毛を助長したりといったことが原因となっていますが、男性型脱毛症の場合も、シャンプーが抜け毛の原因となっていることもあります。
女性男性型脱毛症(FAGA)
女性なのに男性型脱毛症というのもおかしな話ですが、女性ホルモンの影響で中年期以降に抜け毛がみられる症状のことを、女性男性型脱毛症(FAGA:Female Androgenetic Alopecia)と呼んでいます。
ただ、男性型脱毛症に見られるM字ハゲやO字ハゲのように、局所がはげ上がってしまうということはあまりなくて、どちらかというと全体的に抜け毛が見られ、髪のボリュームがダウンしたり、地肌が透けて見えるといった症状がみられます。
女性特有の抜け毛であることから女性ホルモンのバランスや更年期障害、生活習慣の乱れなどが原因と考えられていますが、男性型脱毛症の場合と同様、シャンプーが抜け毛に関与している可能性も指摘されています。
脂漏性皮膚炎による脱毛症
脂漏性皮膚炎による脱け毛は、「脂漏性脱毛症」などといわれることもありますが、正確には脂漏性皮膚炎によって抜け毛が増えてしまう現象のことを言います。
脂漏性皮膚炎の原因は、現代医学をもってしてもはっきりとは分かっていないのが現状だということですが、刺激の多いシャンプーによって、炎症が悪化し、抜け毛が増える可能性が指摘されています。
2.シャンプーと抜け毛の関係について
それでは次に、シャンプーと抜け毛の関係について見ていきたいと思います。どのようなシャンプーを用いていると、抜け毛が増えてしまうのでしょうか。また、シャンプーにはどのような種類があるのでしょうか。代表的なシャンプーとその効果について紹介したいと思います。
市販のシャンプー
薬局やドラッグストアなどで販売されている一般的なシャンプーには、化学的成分が配合されていることが多く、髪の毛や頭皮に与えるダメージが大きいという特徴があるということです。
特に、市販のシャンプーにたいてい含まれている合成界面活性剤は、その強力な洗浄力によっ地肌にとって必要な油分まで根こそぎ洗い落としてしまうため、頭皮環境を悪化させ、抜け毛を助長することが分かっています。
石鹸系シャンプー
石鹸系シャンプーは、昔ながらの石鹸を基本として製造されたシャンプーで、薬局やドラッグストアで売られている一般のシャンプーに比べると、刺激が少ないのが特徴となっています。
合成界面活性剤ほど、油分まで根こそぎ洗ってしまうほどの洗浄力はありませんが、お肌の弱い人にとっては、やはり刺激が強くなってしまう可能性があるということです。敏感肌や乾燥肌の人が石鹸系シャンプーを用いると、やはり抜け毛が増えてしまう可能性があります。
アミノ酸系シャンプー
アミノ酸系シャンプーは、美容室やサロンなどで使われることの多い、頭皮への刺激が少なくて肌に優しいタイプのシャンプーです。その分、洗浄力では先に紹介した2つに劣りますが、敏感肌や乾燥肌の人にとっては強い味方となってくれます。
3.シャンプーをするときの習慣で抜け毛が増える!?
どのようなシャンプーを選ぶかももちろん重要なのですが、シャンプーをするときの習慣が原因で、抜け毛が増している可能性もあります。では、どのような習慣が抜け毛を増してしまうのでしょうか。
爪や指先でゴシゴシと洗う
シャンプーをするときに抜け毛が目立つという人に多いのが、髪の毛や頭皮を力任せにゴシゴシと洗ってしまうケースです。特に、頭がかゆいからといってゴシゴシ洗っていると、かえって炎症がひどくなってしまい、髪の毛の正常な発育を阻害してしまいます。
また、脂漏性皮膚炎がある人などが刺激の強いシャンプーを使ったりすると、余計に炎症症状が増してしまい、そのためまた掻いてしまうという悪循環に陥ることもあります。髪の毛を洗う際にはあくまでも、指の腹を使ってやさしく洗うようにすることが重要です。
洗い残しがある
シャンプーやリンスをした際に、しっかりと洗い流さないと地肌に洗剤が付着したままになってしまい、それがかゆみを誘発して掻いてしまい、結果として頭皮環境が悪化し、抜け毛が増えてしまうことがあります。シャンプーやリンス、コンディショナーなどはしっかりと流すことが必要です。
髪の毛を洗う意識が強すぎる
髪を洗うという言い方があることから、シャンプーをするときに髪の毛をゴシゴシと洗ってしまうことがありますが、それが抜け毛や切れ毛につながることもよくある話です。
本来、髪を洗うというよりは頭、すなわち頭皮を洗って清潔にすることがシャンプーの目的となっています。指の腹を使って、地肌をマッサージするように洗うことが肝要です。
4.誤ったヘアケアが抜け毛の原因になることも!
シャンプーやリンス、髪や頭皮の洗い方といった洗髪習慣だけでなく、その他のヘアケアやおしゃれによって、髪の毛や頭皮にダメージを与えてしまうようなこともあります。抜け毛が気になる方は以下のようなことを行っていないかもチェックしてみてください。
ドライヤーの熱によるダメージ
ドライヤーを使う際に、正しい方法で行わないと、髪の毛や頭皮にダメージを与えてしまうことがあります。特にドライヤーの熱は、髪を乾かすのに必要ではありますが、使い方を誤ると抜け毛を増やすことにもつながる諸刃の剣となります。では、どのようにドライヤーをするのが正しいやり方なのでしょうか。
まず、髪の毛を洗ったらタオルで頭皮から水分を拭き取るようにしましょう。ゴシゴシと拭く必要はありません。それが終わったら髪の毛を挟んで押さえながら水分を吸収します。やはりゴシゴシと拭いたり擦ったりしないように気をつけてくださいね。
頭皮と髪の毛の水分をざっと拭き取ったら早速ドライヤー…ではなく、ドライヤーの熱から髪の毛を守るため、トリートメントを用いて髪の毛を保護してあげましょう。その後、ドライヤーの出番です。
ドライヤーをかける順番も大事です。基本的には「前髪の根本→頭頂部や側頭部の根本→毛先」の順番でドライヤーをかけるようにしましょう。そうすることによって時間が短く、かつ、必要以上の水分を髪の毛から奪わずにスタイリングすることが可能となります。
自然乾燥
ドライヤーの熱で髪の毛が痛むのが嫌だからといって、自然乾燥にするのも考え物です。なぜなら、細菌は湿った環境を好むため、いつまでも生乾きでいると細菌が繁殖してニオイや炎症のもととなってしまうからです。
また、冬場に髪の毛を自然乾燥にしていると、頭皮が冷えてしまい血行不良になってしまいます。血液は酸素と栄養を運んでくれているため、血行不良になると栄養状態が低下してしまいます。栄養状態が低下すれば、髪の毛が正常に発育せずに抜け落ちてしまうこととなります。
さらに、生乾きのまま寝てしまうと、翌日のスタイリングが二進も三進もいかなくなってしまいます。しかも、
寝ている間の無意識の寝返りによって、髪の毛に大ダメージを与えてしまいます。やはり、髪の毛を洗ったあとには、速やかに乾かすことが大事だと言えます。
5.どれくらいの抜け毛なら許容範囲なの?
シャンプーと抜け毛の関係について説明してきましたが、では、シャンプーをしたときに、どれくらいの本数であれば正常な抜け毛の範疇だといえるのでしょうか。
平均は60本程度
日本毛根抜け毛研究会(こんな団体があるんです!)の調べによると、1日平均の抜け毛の数は59本だということです。「え?今日の抜け毛を数えてみたら100本あったんだけど、はげちゃうの!?」なんてあわてなくて大丈夫ですよ。それは、以下のような理由からです。
個人差がある
1日の抜け毛の本数に関しては、10数本という人も入れば、200本抜けるという人もいます。なぜこのようなことが起こるかというと、ヘアサイクルは人それぞれだからです。
髪の毛が生えてきてから抜けるまでにかかる期間はおよそ4年から6年とされています。もちろん、4年たったらすべての髪の毛が抜けてしまうというわけではなく、髪の毛1本1本ヘアサイクルが異なっています。
そのため、たまたま抜ける時期にきた髪の毛が多ければ抜け毛が一時的に増えることとなりますし、成長期の髪の毛が多ければ、抜け毛の数が少ないということになります。1日1日の抜け毛に一喜一憂することなく、ある程度の期間を追ってみることが重要です。
6.こんな人はシャンプーの際の抜け毛に要注意!
シャンプーの際の抜け毛には個人差があることが分かりました。それで安心したという人も多いと思いますが、ただ、以下で紹介するような生活習慣がある人は、将来の薄毛に要注意ですよ!
ストレスがたまっている人
ストレスは万病のもとなどといわれますが、抜け毛に関しても大いにかかわってきます。なぜなら、ストレス状態が長く続くと、自律神経のバランスが乱れてしまうからです。ストレスとは、精神的なストレスのみを言うのではありません。
もちろん、人間関係の悩みは仕事上のトラブル、家庭内の不和といった精神的ストレスも大いに自律神経のバランスを乱してしまいますが、それ以外にも疲労や睡眠不足といった身体的ストレスもやはり自律神経の働きに悪影響を与えます。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つから成り立っており、そのバランスによって私たちの生命活動を維持してくれています。日中は交感神経が、夜間は副交感神経が働くのが通常です。
ところが、疲労や睡眠不足が続いてしまうと、夜になっても交感神経が優位なままになってしまい、睡眠の質が低下し、寝ても身体が休まらないということになってしまいます。
寝ている間に私たちの体内では細胞分裂や消化・吸収、身体の回復が行われるのですが、交感神経が優位なままだと回復機能が低下してしまうのです。結果として髪の毛や頭皮にも悪影響を与え、抜け毛が増えてしまうというわけです。
脂っこい食べ物を好む人
魚よりも肉を好む人や、揚げ物が好きな人なども要注意です。脂っこいものを摂取すると、あたり前ですが皮脂の分泌が増えます。それが気になるため洗浄力の強いシャンプーで皮脂を洗い流します。
ところが、皮脂とは頭皮など皮膚を守るために必要なものでもあるため、身体はさらに皮脂を分泌します。それをまた洗い流してとしているうちに、頭皮から潤いが奪われてしまい、やはり抜け毛が増える結果となってしまいます。
血行が悪い人
先述したように、血液は全身に栄養と酸素を運んでくれています。そのため、血行が悪くなった場所というのは栄養状態の低下を招いてしまうこととなります。それが頭皮に見られれば、髪の毛が正常に発育する前に抜け落ちてしまうということになるのです。
これに関しては、男性だけでなく女性も要注意です。なぜなら、男性に比べると女性の方が筋力が弱かったり、筋肉量が少ないため、冷え症の人が多いからです。
抜け毛はいろいろな要素が絡み合って起こります!
今回の記事ではシャンプーと抜け毛の関係を中心に見てきましたが、いかがだったでしょうか。何らかの症状を招いてしまう原因のことを「リスクファクター(危険因子)」と呼びますが、抜け毛に関してもさまざまなリスクファクターが考えられます。
そのうちの一つがシャンプーというわけですが、シャンプーだけでただちに抜け毛が増えてしまうことは実はそれほど多くなく、その他のファクターと合わさって結果的に抜け毛が増えてしまうのです。
シャンプーの種類や普段の洗髪方法やヘアケア習慣に気を付けるのはもちろんですが、ストレスをため込まないようにして、適度に運動をすることも抜け毛予防にとっては重要ですよ。