
薄毛に悩んでいる方が、最も発毛を促進させたいポイントは、おでこの生え際ではないでしょうか。生え際の薄毛は、頭頂部の薄毛と比べて周りの人から見られたときに目立ちますし、ヘアスタイルも決まりにくくなります。
何より頭頂部よりも生え際の方が鏡を見た時に目立ちますので、何とかしたいと考えている男性は多いでしょう。そこで今回は、生え際が薄くなる原因と、生え際から発毛を促進させる方法、さらに、その方法でも発毛が出来なかった場合の最後の手段についてお伝えしていきます。
生え際が薄くなる原因
生え際の後退が気になりだしたら、すぐにインターネットで育毛剤を検索するのも良いですが、まずは何故生え際が薄くなってしまうのか、その原因を理解しましょう。
はっきりと原因が分かることによって、発毛を促すための対策も変わってきます。
2型5αリダクターゼが多い
生え際が薄毛になってしまう最も大きな理由は、生え際に2型5αリダクターゼが多く分布しているからです。少し専門的な話になりますが、順を追って説明します。
そもそも男性型脱毛症というのは、食生活の乱れやストレス、睡眠不足などによって引き起こされるタイプの脱毛症ではありません。強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンが毛根内部で作用することによって引き起こされる脱毛症です。
私たちの体の中にはテストステロンという男性ホルモンが存在しています。テストステロンは、血液と混ざり、血管の中を移動しています。当然、毛根と結合してる毛細血管にもテストステロンは行き渡ります。テストステロン自体は悪いホルモンではありません。
体を作ってくれる良いホルモンなのですが、毛根に存在している5αリダクターゼと結合することによって強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンに変身してしまうのです。そして、ジヒドロテストステロンは毛根の内部で脱毛促進因子を発生させ、本来であれば3年から5年成長し続けるはずの髪の毛を数ヶ月で脱毛させてしまうのです。少し複雑でしたが、これが男性型脱毛症のメカニズムです。
注目して欲しいのは、テストステロンと結びついて悪玉ホルモンを生み出す5αリダクターゼという酵素です。この酵素は、毛根内部に存在するのですが、1型と2型が存在し、2型5αリダクターゼの方が脱毛を促進させる力が強いと言われています。そして、頭頂部と前頭部ではその分布にも違いがあり、2型5αリダクターゼは、前頭部に、1型5αリダクターゼは頭頂部に多く分布しています。そのため、前頭部の生え際が薄くなってくるということは、2型5αリダクターゼが多いからということになります。
アンドロゲンレセプターの感受性が高い
こちらも少し専門的な話になりますが、上の項目でお話したような流れで毛根内部にジヒドロテストステロンが発生したとしても、アンドロゲンレセプターにキャッチされなければそのホルモンは作用することができません。アンドロゲンレセプターというのは、男性ホルモンの受容体であり、実際に脱毛促進因子を生み出す装置のようなものだと思ってください。
この装置はジヒドロテストステロンという燃料がなければ何の悪さもしません。人は普通に生活していれば、男性ホルモンであるテストステロンを体内で生成しますし、毛根には5αリダクターゼが存在します。そのため、どうしてもジヒドロテストステロンは一定量体内で生まれてしまいます。
ただし、アンドロゲンレセプターはその感受性が遺伝的に決まっており、感受性が高ければ高いほどアンドロゲンレセプターが作られやすくなり、感受性が低ければ低いほどアンドロゲンレセプターが作られにくくなります。アンドロゲンレセプターの感受性が高い人は、アンドロゲンレセプターの数が多く、その影響を受けやすくなるのです。
前頭部で発生したジヒドロテストステロンは、アンドロゲンレセプターに受け取られて、脱毛促進因子を作りだし、抜け毛を促進します。しかし、アンドロゲンレセプターの数が少なければ、そこまで影響が出ないのです。ただこのアンドロゲンレセプターの感受性については遺伝的に作られやすさが決まってしまっているため、後天的にその数を操作することは、現代の医学では不可能です。
生え際から発毛させる方法
生え際が薄くなってしまう原因がわかったところで、具体的な発毛促進に対する対策を立てていきましょう。
フィナステリドの服用
フィナステリドというAGA治療薬は、2型5αリダクターゼの活動を阻害する働きがあります。そのため、ジヒドロテストステロンが生まれなくなり、薄毛の進行がストップされます。フィナステリドを主成分とした治療薬で最も有名なものがプロペシアです。
病院の皮膚科やAGAクリニックに行って診察を受けた後で処方されるものは、ほとんどがこのプロペシアです。個人輸入の代理店を利用すれば、フィナステリドを主成分とした、プロペシアのジェネリック医薬品も安価で販売されています。育毛剤と言えば塗り薬というイメージがあるかもしれませんがプロペシアをはじめとしたフィナステリドが主成分のAGA治療薬はすべて飲み薬、つまり内服薬です。
ミノキシジルの使用
生え際の発毛を促進する場合、もうひとつ重要な成分がミノキシジルです。フィナステリドはどちらかというと男性型脱毛症の進行をストップさせるというディフェンスの働きがある成分ですが、このミノキシジルは積極的に発毛を促進させる成分なので、オフェンスの働きを持っていると言えます。
日本で販売されている育毛剤の中では、リアップシリーズが唯一ミノキシジルを配合しています。ミノキシジルは毛母細胞の細胞分裂を活性化させ、毛包を大きくするという働きを持ちます。
生え際の発毛に効果的な育毛剤ポラリスNR10
ミノキシジルを主成分とした。育毛剤の中でも生え際の発毛促進に最もおすすめなのは「ポラリスNR10」です。この製品は、ポラリスという育毛剤シリーズの中でも最もミノキシジルを高い濃度で配合している育毛剤で、その割合はなんと16%です。
日本で販売されているリアップX5プラスが5%であるということを考えると、非常に高い数字だということがわかるでしょう。さらに、0.1%のフィナステリドも配合されています。外用薬としてフィナステリドがどれほどの効果があるのか客観的な証明はされていませんが、毛根内部に浸透することによって脱毛を予防する働きを期待することができます。
「ポラリスNR10」が生え際におすすめなもう一つの理由は、クリームタイプであるということです。頭頂部の薄毛や、頭皮全体に塗るタイプな育毛剤であれば、液体のタイプの方が使いやすいです。しかし、生え際に関して言えば液体よりもクリーム状のものの方が使いやすいです。
サラサラとした液体状の育毛剤は、生え際に塗布すると、液ダレを起こしてしまいます。しかし、クリームタイプであれば液ダレを起こす心配がありません。ただし、塗った部分が白くなってしまうので、外出の前につけるのは考えものです。夜寝る前に使用する育毛剤としておすすめです。
生え際から発毛しないときはどうすればいい?
ここまでにお伝えしてきたフィナステリドとミノキシジルを併用していく方法で生え際の薄毛が改善しない場合、最後の手段として以下の三つの方法を提案させていただきます。
ただし、フィナステリドやミノキシジルといった育毛治療薬の効果が発揮されるまでには、使い始めてから半年から1年程度の時間がかかると言われています。そのため、1ヶ月や2ヶ月の継続使用で「効果がない」というのは少し早いです。少なくとも半年以上継続して使った上で効果がなかったという場合に、下記の方法を試してみると良いのではないでしょうか。
AGAクリニックへの通院
AGAを専門に扱っている病院のことをAGAクリニックといいます。全国展開しているクリニックや、地元に特化したクリニックなど様々なクリニックがあります。医師免許を持った医師が診察し治療薬を処方してくれるため、安全性と信頼性が高いです。
しかし、処方される薬は基本的にフィナステリドとミノキシジルがほとんど。これらを使用しても効果がなかったということを伝え、育毛メソセラピーやHARG療法といった、クリニックでなければ施術してもらうことができない特殊な治療方法を試してみると良いでしょう。費用はかかりますが、直接頭皮の内部に育毛成分を注入することができるので、高い効果が期待できます。
植毛をする
植毛手術を行うという選択肢もあります。近年の植毛手術は技術が著しく向上しており、仕上がりも非常に自然なものになっています。後頭部から一部の髪の毛を毛根ごと前頭部に移植するという形になりますが、移植元となる後頭部の傷跡も目立たないようにする技術が発達しています。
そして元々が自分の髪の毛ですので、定着してしまえばそのまま他の髪の毛と同じように成長してくれます。さらに、後頭部の髪の毛と同じ特徴を持っているので男性型脱毛症によって抜けるという心配がありません。
坊主にする
飛び道具のような選択肢ですが、坊主にするという方法もあります。治療したり、植毛したりするよりも、費用が安く済みます。
薄毛が隠しきれなくなって坊主にするという人も多いので、生え際が後退し、思ったように発毛できなかったら、坊主にするという方法も良いのではないでしょうか。
まとめ
生え際の髪の毛が抜けてしまう原因と、その対策方法をお伝えしました。そして、どうしても発毛が促進されなかった場合の最後の手段として、3つの方法も記載しています。しかし、ほとんどの場合フィナステリドとミノキシジルを使用した方法を半年以上継続すれば、発毛は可能なはずです。これは臨床試験の結果からも明らかなことです。
ただ、体質的に効く人と効かない人が存在するというのが医薬品の宿命ですので、万が一効果が無かった場合は、最後にお伝えした植毛手術や坊主にするという方法も視野に入れてみてください。