費用を抑える!ミノキシジルのジェネリック医薬品について

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ミノキシジルは、もともとアメリカのアップジョン社という企業によって開発された発毛薬です。なんと、当初は発毛薬ではなく高血圧症の治療薬として開発されていたという経緯があるから驚きです。

高血圧症の治療薬として研究していたところ、ある副作用が発現したのです。それは、『発毛』という副作用でした。高血圧症の治療薬として作っていたところ、血圧を下げるという期待された働き以外の作用が現れると、それは副作用に分類されてしまいます。

けれど、そこで視点を変えて、副作用ではなく、発毛効果としてとらえ、発毛薬の開発へと切り替えたのでした。その結果、ミノキシジルは、発毛薬として世界中に普及していくことになったのです。

そんなミノキシジルは、現在では日本国内でも販売されています。日本国内での製造と販売は、大正製薬株式会社が担っています。海外での販売名称は、Rogaine(ロゲイン)ですが、日本国内ではリアップという名前での販売となっています。

このミノキシジルという発毛薬は、男性型脱毛症、いわゆるAGAの治療にとても効果的な発毛薬のひとつです。実際、日本皮膚科学会で2010年に作成された男性型脱毛症の診療ガイドラインにおいて、男性型脱毛症の治療薬の第一選択としてあげられています。男女共にです。

しかしながら、ミノキシジルはとても有効な発毛薬なのですが、その発毛効果を認めるまでには数十ヶ月以上という長期間にわたって使い続けなければならないという特徴があります。しかも、困ったことに多くの場合において、ミノキシジルの効果によって脱毛症が一旦治ったとしても、その使用を中断してしまうと、せっかく生えてきた毛髪部分に、再び脱毛症が再発してしまうという特性もあります。したがって、ミノキシジルを継続的にずっと使い続けなければならないのです。

さて、安価な医薬品といえば、ジェネリック医薬品をあげることが出来ます。長期にわたって使用し続けなければならないミノキシジルの費用を抑えるために、ミノキシジルとジェネリック医薬品についてまとめてみました。

ミノキシジルを使うことによってかかってくる費用について

現在、日本で販売されているミノキシジル製剤、すなわちリアップは、すべて塗り薬タイプ、つまり外用薬のみの構成となっています。ミノキシジルの濃度やそれ以外の薬効成分のある配合薬の違いによって5種類発売されています。
これらのほぼ全てのリアップが、1ヶ月あたり1本を消費する程度の薬剤量となっています。大正製薬の提示しているリアップシリーズの定価は、1本あたりおおむね4000円から7000円(税抜き)です。したがって、ミノキシジルで脱毛症を治療しようとすれば、毎月4000円から7000円ほどの出費が必要となるわけです。1年使った場合の費用は、それに12倍したものとほぼ一致します。

ところが、前述した通り、発毛効果が現れるまで数十ヶ月もの期間がかかります。 それだけでなく、ミノキシジルの効果で一度脱毛症が治ったとしても、その使用を怠ると、脱毛症が再発してしまいます。これが今後ずっと延々と続くわけですから、その金額はバカになりません。少しでも費用を抑えたいと思うのが、正直な気持ちでしょう。
そこで、考えてみたいのが、ジェネリック医薬品の利用です。

ジェネリック医薬品ってなに?

テレビの報道・CMや、新聞記事等で、『ジェネリック医薬品』という言葉をお聞きになったことはありませんか?
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品に対する用語です。先発医薬品とは、製薬企業などによって開発され、特許が申請された医薬品のことです。要するに新薬のことです。

一方、ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許がきれた後に、それと同じ有効成分を使って作られた医薬品のことをいいます。先発医薬品に対して後発医薬品という表現がなされることもありますが、意味するところは両者共に共通です。

もちろん、ジェネリック医薬品は誰でも作っていいわけではありません。医薬品としての効き目や安全性、品質を担保していなければならないことは、論をまちません。そのための厳しい検査を受け、厚生労働大臣によって、国の基準や法律に照らし合わせて適合していると認められなければ、製造することはできないことになっています。

したがってジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じような効果・効能だけでなく品質、そして安全性を有しているといえます。

ジェネリック医薬品の特徴について

現在、新薬の開発には10年から20年に及ぶといわれるほどの歳月と、そして数百億円以上の費用がかかるといわれています。これには、動物実験や臨床試験も含まれています。もちろん、これだけの期間と費用を投資をしたとしても、効果や効能が認められず新薬が開発出来ない、または副作用から失敗になることもあります。それだけでなく、前述した以上に開発するまでの費用や年数が必要となる場合も稀ではありません。

そこで新薬を開発に成功した製薬会社は、世界中でその新薬の特許を申請します。これは、特許が認められた場合、一定の期間は、その新薬の製造と販売を独占的に行使する権利が得られるからです。

しかし、特許期間は永遠のものではありません。いずれは特許がきれる日が来ます。特許が過ぎれば、その権利は国民全体の共有財産となります。そのために、新薬を開発した製薬会社以外の製薬会社が、同じ有効成分を使った薬を製造販売することが出来るようになります。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許がきれたあとに、同じ有効成分を使って製造されます。そのために、ジェネリック医薬品を製造販売する際には、先発医薬品の開発時のような費用や期間がかかりません。もちろん、有効成分がわかっているからといっても、それを元にジェネリック医薬品を開発するのに費用と期間は必要です。けれど、その費用は1億円程度、期間も3〜4年ほどですから、先発医薬品と比べると雲泥の差です。しかも、有効成分は既にわかっているわけですから、開発に失敗するリスクも先発医薬品と比較して非常に低くなっています。

この開発コストの差から、先発医薬品と比べて、ジェネリック医薬品の場合は安価に提供することが出来るのです。これが、ジェネリック医薬品の特徴です。

ですから、先発医薬品と比べてコストが安いからといって、決して”安かろう悪かろう”という医薬品ではありません。

ジェネリック医薬品と先発医薬品の間には違いってないの?

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を使って作られています。ところが、実は両者は全く同じではありません。そこには、微妙に違いがあります。実際、ジェネリック医薬品と先発医薬品を見比べてみると、同じものはまずありません。形や色が異なり違いが明確なものもあれば、見分けがつきにくいものもあります。

有効成分は共通の筈なのに、こうした違いはどうして生まれるのでしょうか。それは、有効成分以外のところ、添加剤に違いがあるからです。

添加剤は、錠剤であれば有効成分を固めて形作るために使われています。カプセルであれば、カプセルそのものに使われていますし、スプレータイプの医薬品であれば、噴射剤として添加剤が利用されています。吸入タイプの医薬品であっても同様です。

有効成分そのものには違いがないのですが、ジェネリック医薬品と先発医薬品とでは添加剤が異なるために、薬の形、色、味、そしてにおいなどに、違いが生じるのです。もちろん、有効成分は同じですから、両者に効果や効能、安全性には違いはありません。

ジェネリック医薬品の製造対象となる医薬品について

医薬品は、医療用医薬品と一般用医薬品に分けられます。医療用医薬品とは、病院や診療所で、医師や歯科医師の診察を受けた上で、処方箋を交付してもらって、手にする医薬品のことです。

一方、一般用医薬品は、大衆薬・OTCともよばれるタイプの医薬品です。OTCとは、Over the Counter Drugの頭文字を合わせた略語です。ドラッグストアや薬局などで、カウンター越しに購入することが出来る医薬品ということを意味しています。一般用医薬品は、医療用医薬品と異なり、処方箋がなくてもドラッグストアや薬局で購入出来る医薬品です。

いわゆる先発医薬品は、医療用医薬品に分類される医薬品に該当します。したがって、先発に対する後発であるジェネリック医薬品は、医療用医薬品に分類されます。一般用医薬品に該当するジェネリック医薬品が開発されることはありません。

ミノキシジル製剤のジェネリック医薬品ってあるの?

ミノキシジル製剤であるリアップは、一般用医薬品に分類される医薬品です。ですので、現時点で日本国内では、ミノキシジル製剤のジェネリック医薬品の開発販売は行なわれていません。

ところが、海外に目を向けてみると、Rogaine(ロゲイン)のジェネリック医薬品が発売されています。すなわち、Rogaineは、リアップと同じ成分ながら先発医薬品という扱いを受けているのです。しかも、Rogaineはアメリカでは普通にドラッグストアで購入することが出来るようです。

Rogaineのジェネリック医薬品について

海外では、たくさんの種類のミノキシジル製剤のジェネリック医薬品が発売されているようですが、代表的な2種について紹介します。

Kirkland(カークランド)

配合されているミノキシジルの濃度は5%ですので、リアップX5プラスと同じ濃度です。

なお余談ですが、カークランドとは、日本でもおなじみの巨大倉庫店コストコが製造販売しているプライベートブランドです。コストコが、アメリカのワシントン州カークランド市から始まったことが、その由来のようです。アメリカのコストコではカークランドが購入出来るのですが、日本のコストコでは購入することは出来ません。

Polaris(ポラリス)

ポラリスの特徴は、配合されているミノキシジル濃度が、5%、7%、15%、16%とより高濃度の製剤がシリーズ化されているところです。ただし、日本皮膚科学会は、第一選択として男性の場合でミノキシジル濃度5%、女性の場合で1%を推奨していますので、より高濃度のミノキシジル製剤を使う場合は、副作用などのリスクが高くなってきます。

ミノキシジル製剤のジェネリック医薬品を購入するには

我が国において、ミノキシジル製剤のジェネリック医薬品は販売はおろか、製造さえもされていません。したがってミノキシジル製剤は、ドラッグストアなど正規のルートでは大正製薬のリアップシリーズ一択となります。前述したカークランドやポラリスを日本国内のドラッグストアや薬局で購入することは、出来ません。

そのために、ミノキシジル製剤のジェネリック医薬品を購入するためには、個人輸入という形式をとらざるを得ません。個人輸入で使用する場合は、あくまでも自己責任で使用しなければなりません。特にポラリスのように、高濃度のミノキシジル製剤を使用する場合は、効果は高いのですが、その反面用法容量を間違えた場合の副作用のリスクはとても高いです。ポラリスに限らず、その点を十分理解しておくために、一定レベルの医薬品に関する知識をもっている必要があるでしょう。

また、価格は為替による影響を受けますので、しっかりと確認しておかなければなりませんし、送料も確認しましょう。

業者によっては、悪徳なところであれば偽物や粗悪品などをつかまされるリスクもあることも忘れてはなりません。医薬品ですので、偽物や粗悪品による健康被害のリスクも常に認識しておきましょう。

まとめ

日本国内で販売されているミノキシジル製剤であるリアップは、毎月数千円のコストがかかってきます。効果が現れるまでに数十ヶ月かかることもありますし、脱毛症が回復したからといって、使用を一時中断してしまうと、元の状態に戻ってしまうこともあります。

そのために、長期間にわたって継続的に使用し続けなければならず、その場合の費用は、とても高額になってしまいます。

そこで、利用したいのがジェネリック医薬品です。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と比べて、コストも低く、効果効能も安全性も確かな医薬品です。日本国内では、ジェネリック医薬品は医療用医薬品に限られています。

ところが、リアップは、日本国内では一般用医薬品に分類される発毛薬です。そのためにリアップのジェネリック医薬品は開発も製造もされていないのが現状です。すなわち、ミノキシジル製剤を使いたい場合は、リアップシリーズしか選択肢がないのです。

そこで、日本国内でダメなのなら、海外ではどうかと目を向けてみると、海外ではミノキシジル製剤のジェネリック医薬品は開発販売されています。代表的なものがカークランドやポラリスです。

ただし、これらは日本国内のドラッグストアや薬局では購入することは出来ません。購入したい場合は、個人輸入という方法をとらざるを得ません。個人輸入の場合は、薬剤師と相談することも出来ません。そのためにある一定レベルの医薬品に関する知識は不可欠です。使用方法を間違えないということはもちろん、使用中に生じる可能性のある副作用についても、自己責任となります。偽物や粗悪品をつかまされるリスクもあることも認識しておく必要があります。

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