
ミノキシジルは、脱毛症の治療薬として優れた効果を持つ薬剤です。もともとは、アメリカにおいてアップジョン社という会社によって数十年前に開発された薬です。
当時は、脱毛症の治療薬ではなく、高血圧症の治療薬として作られました。なお、アップジョン社は今はなくなり、ファイザー製薬となっています。
高血圧症の治療薬として開発していたところ、毛髪が増えてくるという副作用が認められ、この結果を元に脱毛症の治療薬として開発されたという経緯がありました。現在では、世界的にも普及しており、発毛薬の代表的存在といえます。
高血圧症の治療薬として開発されていたため、当初は飲み薬タイプ(内服薬といいます)のミノキシジルもありましたが、飲み薬タイプでの副作用が多く認められたことから、現在では塗り薬タイプ(外用薬といいます)のミノキシジルのみとなっています。
我が国では、大正製薬がリアップという名称で発売しています。ちなみに、海外ではRogaien(ロゲイン)という名称で販売されているようです。ですので、世界ではリアップではなくロゲインとして知られています。リアップもまた、塗り薬タイプのみとなっています。
リアップは、大衆薬に分類される発毛薬です。医師の処方箋を得ることがなくても、ドラッグストアで購入することが出来ます。リアップは、濃度や性状、配合薬の違い、男性用もしくは女性用などにより、国内においては数種類発売されています。ロゲインは国内では販売されていません。ロゲインを使用したい場合は、海外からの個人輸入になります。ですので、リアップの方が購入しやすいといえます。
そんなリアップの気になる値段ですが、やはり製品の種類ごとにそれぞれ異なってきます。そこで、リアップの値段についてまとめてみました。
現在国内で発売されているリアップの種類について
現在、我が国で承認を受け、販売されているミノキシジル製剤は、大正製薬のリアップになります。リアップには、数種類ラインアップされております。
①リアップX5プラス
ミノキシジルの濃度は5%です。大正製薬のリアップシリーズの中では、最も濃度が高くしてあり、いわばリアップシリーズの旗艦のような位置付けにあります。
ミノキシジルを高濃度にしているだけでなく、3種類の薬効成分も追加してあります。追加してある薬効成分は、ピリドキシン塩酸塩、トコフェロール酢酸エステル、I-メントールです。
ピリドキシン塩酸塩は、フケの発生の抑える働きを持っています。この効果で、皮脂がたくさん出すぎることを予防します。これにより毛穴がふさがらないようにします。
トコフェロール酢酸エステルは、皮脂が酸化して、頭皮を傷めることを予防し、頭皮を炎症から守る役割があります。また、頭皮のニオイの発生を防ぎます。
I-メントールは、炎症やかゆみを抑え、清涼感をもたらします。このように、3種類の薬効成分を追加することで、頭皮環境の改善を目的に、皮脂のコントロールによるスカルプケア効果もプラスされています。
公益社団法人日本皮膚科学会の作成している男性型脱毛症の診療ガイドラインでは、男性患者における男性型脱毛症の治療薬の第一選択肢として、ミノキシジル製剤の使用を推薦しています。その際の濃度の推奨は5%ですので、ミノキシジル5%配合のリアップX5はその選択肢として非常に適していると考えられます。
なお、厚生労働省に大正製薬がミノキシジル製剤の使用承認を求めるために提出したデータも、濃度5%のミノキシジル製剤を使った場合の臨床研究データを元にしています。
②リアップジェンヌ
配合してあるミノキシジルの濃度は1%です。ミノキシジル以外にパントテニールエチルエーテル、トコフェロール酢酸エステル、I-メントールといった合計3種類の薬効成分も配合されています。
配合された薬効成分のそれぞれの働きは、パントテニールエチルエーテルが毛細胞への栄養供給、トコフェロール酢酸エステルが皮脂の酸化を防止し頭皮のかゆみやフケの発生を抑えて頭皮を守る、I-メントールは、頭皮のかゆみを抑えて清涼感を与えるようになっています。
これらの3種類の薬効成分とミノキシジルの作用で、頭皮を健康に保ち、新しい毛髪を生み出し、しっかりとした太い毛髪へと育てていきます。ところで、ミノキシジルの濃度自体でみてみると、前述のリアップX5と比べると5分の1となっていますから、とても薄くなっているように思われがちですが、実はそうではありません。
日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、女性患者での男性型脱毛症の治療の第一選択として、男性と同様にミノキシジル製剤の使用を勧めています。ただし、その場合の推奨濃度には違いがあり、女性患者であればミノキシジル1%濃度を推奨しているのです。
そのことからミノキシジル濃度1%のリアップジェンヌは、女性が使用する場合に最適の濃度となっているといえます。パッケージのデザインも赤やピンクを基調とした女性を意識したものになっています。
③リアップジェット
リアップジェットに配合してあるミノキシジルの濃度は1%です。リアップジェンヌと同じ濃度ですが、ミノキシジル以外の薬効成分が配合してある点が特徴的です。具体的にはパントテニールエチルエーテル、トコフェロール酢酸エステル、I-メントールとなっています。
リアップジェットは、その名前の通りジェットでミノキシジルを噴射します。ジェットの圧力により、毛髪の元となる毛母細胞を刺激する効果があります。また、メントールも配合されてあり、スッとするような清涼感や爽快感があります。
1回当たり1[ml](15噴射に相当)を使うのですが、使いすぎない様に15噴射したのち、自動的にロックがかかる設計になっていますので、使いやすいです。
④リアップ
リアップのミノキシジルの配合濃度は1%です。添加物はありますが、ミノキシジル以外に薬効成分のある配合物は入っていません。ですので、他の製品と比べてアレルギーの発現するリスクは低く、より安全性が高いと言えます。
⑤リアッププラス
リアッププラスのミノキシジルの配合濃度は1%です。これに、発毛環境を整える目的で3種の薬効成分(パントテニールエチルエーテル、トコフェロール酢酸エステル、I-メントール)を追加しています。パントテニールエチルエーテルは、毛髪細胞に栄養を補給する働きを持っています。
トコフェロール酢酸エステルには、頭部の皮脂が酸化して、頭皮に炎症を起こすのを防ぐことで、頭皮を守る役割があります。I-メントールは、リアップを使った時に頭皮に清涼感を与える作用を有しています。
気になるリアップの値段について
リアップシリーズの価格については、大正製薬が定価を発表しております。本稿でもこれを元に記載しています。
ところで、リアップシリーズは、ドラッグストアで購入可能な大衆薬です。各リアップの販売価格は、それぞれの店舗にて設定されています。
多少の金額の差が生じていると思われますので、正確な金額については、購入を予定しているドラッグストアなどでご質問下さい。なお、1本当たりの定価と別に、1ヶ月各リアップを使った場合のコストについても、計算して記載するようにしております。リアップは継続的に使い続けなければ効果が生まれません。
ですから、1本当たりの値段だけでなく、1ヶ月当たりのコストも併記しております。1年当たりのコストは、1ヶ月のコストに12倍すれば算出出来ます。
①リアップX5プラス
リアップX5は1本60[ml]の製品となっております。定価は7048円(税抜き)です。リアップX5は、1日2回、1回あたり1[ml]を使います。
ですから1日2[ml]使うと計算すると1本60[ml]なので、これはおよそ30日分となります。言い換えれば、リアップX5の1ヶ月当たりの値段は7048円(税抜き)という見方も出来ます。
②リアップジェンヌ
リアップジェンヌは1本60[ml]の製品となっております。定価は5239円(税抜き)です。リアップジェンヌは、1日2回、1回あたり1[ml]を使います。ですから1日2[ml]使うと計算すると1本60[ml]なので、これはおよそ30日分となります。
したがって、リアップジェンヌの1ヶ月当たりの値段は5239円(税抜き)という計算になります。
③リアップジェット
リアップジェットは1本100[ml]の製品となっております。定価は3800円(税抜き)です。リアップジェットは、1日2回、1回当たり1[ml]噴射します。1[ml]は15噴射に相当します。
1日2[ml]使う計算ですので、一見するとリアップジェット1本で50日分、つまりおよそ1ヶ月半分ありそうに思われますが、実は、リアップジェット1本100[ml]中の構成は、薬液67[ml]、噴射剤33[ml]となっていますので、7割ほどしか入っていません。
そのために、リアップジェットも1ヶ月で1本使い切る計算になりますので、1ヶ月当たりのコストは3800円(税抜き)となります。
④リアップ
リアップには1本60[ml]の製品と1本120[ml]の製品の2種類が販売されています。60[ml]の製品は5500円(税抜き)、120[ml]の製品は9500円(税抜き) となっています。
リアップは、1日2回、1回あたり1[ml]を使います。ですから1日2[ml]使うと計算すると1本60[ml]の製品であれば30日分(1ヶ月分)、1本120[ml]の製品であれば60日分(2ヶ月分)ということになります。
60[ml]のリアップであれば、1ヶ月あたりの費用は5500円です。一方、120[ml]のリアップであれば1ヶ月あたりの費用は9500円の半額となりますので、60[ml]の製品よりお求めしやすいということがいえます。
⑤リアッププラス
リアッププラスは1本60[ml]の製品となっております。定価は5239円(税抜き)です。リアッププラスは、1日2回、1回あたり1[ml]を使います。ですから1日2[ml]使うと計算すると1本60[ml]なので、これはおよそ30日分となります。
すなわち、リアッププラスの1ヶ月当たりにかかってくる費用は5239円(税抜き)ということになります。
リアップの通信販売について
店舗販売より通信販売のほうがお安く購入することが出来る場合が多いです。ところで、リアップは第一類医薬品に該当する発毛薬です。アマゾンや楽天市場でも発売されており、インターネットからの購入可能です。ただし、第一類医薬品の場合、通信販売で購入する際は、薬剤師による適正使用の確認が必要となっています。
アマゾンで購入する場合は、メールで確認するという方法をとっています。楽天市場も同じです。通信販売の価格については、価格.comでも比較することが出来ます。金額を調べるときは、送料の有無が大きく影響してきます。送料別の料金を見たところ、安いと思っても、送料を含んだ金額では逆転してしまうこともあります。その点も見逃さない様にしてください。
まとめ
現在、我が国で発売されているミノキシジルを主成分とした発毛薬には、大正製薬から提供されているリアップシリーズがあります。
リアップは、5種類販売されておりますが、女性用はリアップジェンヌ1種類となっています。リアップジェンヌは、1ヶ月あたりのコストは5239円(税抜き)となっています。
一方、男性用のリアップは、4種類あり、ミノキシジル濃度や配合薬、塗布方法の違い等に特徴があります。最もミノキシジル濃度が高いのが、リアップX5プラスです。これの1ヶ月あたりのコストは7048円(税抜き)です。ジェットでミノキシジルを噴射するリアップジェットの場合は、1ヶ月あたり3800円(税抜き)です。
ミノキシジル濃度が1%のリアップであれば、1ヶ月あたり5500円(税抜き)、もしくは9500円の半額の4750円(税抜き)となります。リアップに薬効成分をプラスしたリアッププラスの場合は、1ヶ月あたり5239円(税抜き)となっています。
このように、どのタイプのリアップを使うのかによって、費用は3800円から7048円まで大きく異なってきます。しかも、リアップは長期にわたって、継続的に使い続けなれば効果が得られない薬剤でもあります。薬剤師などとよく相談の上、自分自身にあったリアップを選ぶようにしてください。