
発毛剤として有名なプロペシアですが、一部の人から「使ってからしばらくすると抜け毛が増えた」などという声が聞かれることがあります。せっかく抜け毛を減らして発毛をしたいのに、抜け毛が増えると心配になりますよね。
なぜプロペシアなどの男性型脱毛症の治療薬を用いると、一時的に抜け毛が増えるのでしょうか。また、そのような場合にはどう対処したらよいのかについて解説していきます。
脱毛が起こる原因について
プロペシアによる初期脱毛について解説する前に、まずは、そもそもなぜ脱毛が起こるのか、なぜ男性型脱毛症(AGA)になってしまうのかについて知ることが重要です。それによって、通常の脱毛と発毛剤による初期脱毛との違いを理解することが可能となります。
生活習慣
脱毛が起こる原因はいろいろありますが、生活習慣もその一つとしてあげられます。睡眠不足や暴飲暴食など、身体的ストレスによって頭皮の栄養状態が低下し、髪の毛が生まれ変わるサイクルに異常が生じて抜け毛が増えてしまうことがあります。
精神的なストレス
抜け毛が起こる原因としては、精神的なストレスも上げられます。職場の人間関係や家庭内での不和、極度の心配性など、精神的なストレスによって抜け毛が増えてしまうことは比較的よくある話です。
典型的なのが10円ハゲといわれるもので、男性だけではなく女性にも見られます。ただ、10円はげに関しては時間の経過によって自然と治ってしまうこともあり、いわゆる男性型脱毛症とは別物です。
食習慣
脂っこい食事やファーストフード、コンビニ弁当やスナック菓子など、栄養バランスの悪い食事をしていると、抜け毛が増えてしまうことがあります。
そのような食事をしていると、頭皮へ送られる栄養も不足することとなるので、頭皮環境が悪化して抜け毛が増えてしまうという訳です。
男性ホルモンの影響
男性型脱毛症になってしまう原因としては、男性ホルモンの影響もあげられています。そして、プロペシアなどの発毛剤が抜け毛を抑制し、発毛効果を発揮するのは、男性ホルモンに対してアプローチするからです。
男性ホルモンは、男性を「男性らしく」するためのホルモンで、女性より男性の方が筋肉質であったり、がっしりとした体型をしたり、体毛が濃かったりしているのは男性ホルモンの働きとも言えます。
ところが、男性ホルモンが旺盛すぎると抜け毛が増えてしまうことが分かっています。一般的に言っても、胸毛が濃かったり脂ぎっていたり、性欲が強かったりするとはげてしまうようなイメージがあることと思います。
男性ホルモンとしてよく知られているものに、テストステロンといわれるものがあります。このテストステロンがより強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンへと変化することで、抜け毛が増えて男性型脱毛症になることが分かっています。
プロペシアで抜け毛が減らせる理由
男性型脱毛症の原因はさまざまですが、プロペシアは男性ホルモンが原因で起こるタイプの男性型脱毛症に対して効力を発揮してくれます。では、どのような仕組みで抜け毛を予防してくれるのでしょうか。
5α-リダクターゼの分泌を抑制する
男性型脱毛症の原因の一つとして、男性ホルモンであるテストステロンが、より強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンへと変化することがあげられていました。
そして、テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する時に、重要な働きをするのが5α-リダクターゼといわれる変換酵素なのです。
5α-リダクターゼがなぜ分泌されるのかハッキリとしたことは分かっていないのですが、プロペシアに含まれている有効成分であるフィナステリドには、5α-リダクターゼの分泌を抑制する働きがあるのです。
それによってテストステロンがより強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンへと変化することを防ぎ、結果として抜け毛を予防してくれるのです。
M字ハゲやO字ハゲを防いでくれる
男性型脱毛症の予防には、5α-リダクターゼの分泌を抑制することが重要であることが分かりましたが、実は5α-リダクターゼには、1型の5α-リダクターゼと2型の5α-リダクターゼとがあることも分かっています。
1型の5α-リダクターゼは主に全身の体毛や、側頭部・後頭部といった場所に多く分泌されることが分かっています。それに対して、2型の5α-リダクターゼは、頭頂部や前頭部に多く分泌されるということです。
つまり、2型の5α-リダクターゼが分泌されると、頭頂部から始まるO字ハゲや、前頭部から始まるM字ハゲになるリスクが高くなるということなのです。
プロペシアに含まれている有効成分であるフィナステリドには、2型の5α-リダクターゼの分泌を抑制する働きがあります。そのため、プロペシアを服用することによって、M字ハゲやO字ハゲを予防する効果が期待できるという訳なのです。
発毛効果はあるのか?
ここまで見てきて、プロペシアに抜け毛の予防効果があることは分かって頂けたことと思います。ただ、鋭い人なら「抜け毛を予防するのと発毛することとは話が違うのではないか?」と思われることと思います。
確かにその通りですよね。抜け毛を予防するからと言って、それが発毛につながるとは限りません。ただ、そのような心配は無用なようです。
実際に、プロペシアに含まれている有効成分であるフィナステリドについての研究が進んでおり、半年間フィナステリドを服用した場合、およそ50%の人に発毛効果が見られたということです。
また、フィナステリド(プロペシア)の服用期間によって発毛効果はどんどん上昇していき、1年間服用した場合にはおよそ60%、2年間服用した場合にはおよそ70%、3年間服用するとおよそ80%の人に発毛効果が見られたということなのです。
この結果から、プロペシアに含まれている有効成分であるフィナステリドには、単に5α-リダクターゼの分泌を抑制することで抜け毛を予防してくれるだけでなく、発毛が起こることも期待できるという訳なのです。
プロペシアで初期脱毛が起こるわけ
プロペシアには抜け毛の予防効果や発毛効果があるということですが、実際にプロペシアを服用していると、その初期段階で抜け毛が増えることがあります。ではなぜそのようなことが起こるのでしょうか。
初期脱毛とは?
初期脱毛とは、プロペシアなどの男性型脱毛症の治療薬を服用、もしくはミノキシジルなどの発毛剤、その他育毛剤を頭皮に塗布したような場合に、一時的に抜け毛が増える現象のことを言います。
せっかく抜け毛予防効果や発毛効果など、男性型脱毛症の改善を期待しているのに、抜け毛が増えてしまうと心配になりますよね。ではなぜ初期脱毛が起こるのでしょうか。
初期脱毛が起こるわけ
一般的に、男性型脱毛症が進行している人の髪の毛は、細くなっていたり、成長しきらないうちに抜け落ちてしまったりしています。
これは、栄養状態の低下による頭皮環境の悪化や、髪の毛が生まれ変わるサイクル(発毛サイクル)に狂いが生じていることによって起こります。
ところが、プロペシアを服用することによって、頭皮環境が改善したり発毛サイクルが正常に戻ったりすることで、頭皮の下では新たに強くて太い髪の毛が生えてくる準備が整ってきます。
そして、強くて太い髪の毛が生えてくると、その前に生えていた細くて弱い髪の毛を押し出してしまうのです。これが初期脱毛の起こるメカニズムという訳なのです。
つまり、初期脱毛はプロペシアを服用することによる副作用などではなくて、ちゃんと髪の毛が生えてきているという証拠でもあるのです。
プロペシアで初期脱毛が見られる際の対処法!
プロペシアで初期脱毛が見られるのは、プロペシアの副作用などではなくて、ちゃんと髪の毛が生えてきている証拠だということでした。ただ、始めてプロペシアを使った場合などは驚いてしまいますよね。では、どのように対処するのがよいのでしょうか。
初期脱毛が続く期間を見極める
初期脱毛が見られる期間は、一般的に30日から45日程度であることが多いようで、その期間を過ぎると抜け毛の量も落ち着いてくることが多いです。
そのため、プロペシアを飲み始めてから抜け毛が一時的に増えたとしても、あせらず騒がず、頭皮の状態をよく見極めることが重要となります。
お医者さんに相談する
男性型脱毛症を専門としている病院やクリニックで治療を受けているような場合は、担当のお医者さんに相談するとよいでしょう。
お医者さんはそれぞれの人に合った方法で薬を処方したり治療法を選択したりします。そのため、まずは担当のお医者さんに状態を報告することが重要となります。
プロペシアによる初期脱毛が起こりやすい人
プロペシアによる初期脱毛のメカニズムや、初期脱毛が起こった場合の対処法については、以上で述べた通りになります。ところで、初期脱毛が起こりやすいような人っているのでしょうか。
若い男性
プロペシアを服用することによる初期脱毛は、中年期以降の男性よりは若い男性の方に多く見られるようです。なぜなら、若い男性の方が中年期以降の男性よりも新陳代謝が活発だからです。
血行のよい人
血行のよい人や、男性型脱毛症を改善する一環として血行をよくしようと心がけているような人も、初期脱毛の起こる可能性が高くなります。
運動習慣のある人
普段からウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をおこなっている人も、初期脱毛が起こりやすいと言えます。やはり、運動習慣によって血液の循環がよくなるからです。
プロペシアで初期脱毛が見られたら改善の兆しです!
プロペシアを服用することで起こる初期脱毛は、髪の毛がちゃんと生えてきている証拠でもあるので、初期脱毛が起こったらむしろ喜ぶべきことであるとも言えるでしょう。
ただし、初期脱毛があまりにも長く続くような場合や、心配な場合には、担当のお医者さんに相談するようにしましょう。心配自体がストレスとなるため、頭皮に悪い影響を与えてしまいますからね。