
冬が終わり暖かくなる春は気持ちも明るくなってきますよね。でも、春になるとなぜか抜け毛が気になって気分が落ち込んでしまっているのではないでしょうか?
動物には換毛期といって、夏毛と冬毛が生え換わる時期があることをご存知の方も多いことと思います。ところが、人間に関しても、春になると抜け毛が増えるのをご存知ですか?
今日は春になると抜け毛が増える原因と、その対処法について紹介したいと思います。
春は抜け毛が増える季節!?
冬が終わり春になると、厳しい寒さが和らいで過ごしやすくなりますよね。でも、そんな時期にふとお風呂の排水溝を見てみると、髪の毛がたくさん絡まっているなどといった経験はありませんでしょうか。
人間の髪の毛は、通常、何もしなくても自然と抜け落ちていくものです。そして、1日の抜け毛の数が100本前後であれば、それほど気にする必要はありません。ただ、あまりにも抜け毛が多い場合には要注意。
特に、春先の抜け毛は、単に髪の毛だけの問題ではなく、身体全体に何らかの異変が起こっている可能性がなくもありません。では、春になると抜け毛が増える原因について考察してみましょう。
なぜ春になると抜け毛が増えるの?
春になると抜け毛が増えるという実感を持っている方は、意外と多く見受けられます。それではまず、なぜ春になると抜け毛が増えるのかその原因について見ていきたいと思います。
1.自律神経の乱れ
冬から春になる時期には、自律神経が乱れることが分かっています。自律神経とは交感神経と副交感神経の2つから成る、私たちの生命活動を維持するために欠かせない神経のことです。
自律神経はその名の通り、自律して働く神経なので、普段私たちが特に意識しなくても、勝手に働いてくれています。たとえば、「5秒だけで構わないので心臓を止めてみて」といわれてもできませんよね。
自律神経はこのように、内臓機能を維持したり体温を調節したりといった機能や、寝ている間に身体の修復をしたり成長させたりといった機能をもつかさどっているのです。
当然、髪の毛に関しても毛母細胞が分裂・成長することで発育するわけですから、自律神経が乱れると、毛髪の成長サイクルに狂いが生じ、髪の毛が抜けやすくなる結果となるわけです。
2.睡眠の質の低下
自律神経は、よく車のアクセルとブレーキにたとえられます。日中はアクセルを踏んで(=交感神経優位状態)、夜寝るときにはブレーキを踏む(=副交感神経優位)というわけです。
ところが、冬から春になって暖かくなってくると、交感神経が優位になりすぎてしまう人がいるのです。たとえば花粉症の人がそれにあたります。
花粉症は花粉だけが原因なのではなく、体内に入ってきた異物(花粉)を過剰なまでに排除しようとする身体の働きこそが問題だとされています。
そして、花粉症になるような人は交感神経優位型=緊張型の人が多いということです。交感神経優位状態が夜寝るときまで続いてしまうと、睡眠の質が低下して、身体の修復・成長機能が弱まってしまい、結果として抜け毛が増加してしまいます。
3.ストレス
日本は4月が新学期や新生活のスタートの時期となっています。春は大学へ進んだり、会社へ就職するなどといった季節と重なっているため、これまでの生活環境と変わることが多くみられます。
地方の学生なら都会の大学に進んだり、大手の企業に就職することも多いと思います。それにともなって、住み慣れた土地を離れ、人口の多い都会へと引っ越すこともあるでしょう。
そういった環境の変化によるストレスによって、抜け毛が増えることがあります。なにごともそうですが、環境因子が身体に与える影響を考慮する必要があるということですね。
4.血行不良
春先になると交感神経が優位になってくるということでしたが、交感神経が優位になると、身体の血管が収縮して、血行が悪くなるといわれています。
血液は全身に酸素と栄養を運んでいるので、血行が悪くなった場所は、栄養状態が低下してしまうこととなります。それが頭皮に見られれば、抜け毛が増える結果ともなりかねないということです。
春になると抜け毛が増えるのはこんな人!?
春になると抜け毛が増えてしまう人には、どのような共通点があるのでしょうか。春先に抜け毛が増えやすくなる要因について、環境面と精神面の両方から探ってみたいと思います。
5.神経質な人
現代病でもあるうつ病は、まじめな人や神経質な人、完璧主義な人や責任感の強い人がなりやすいといわれていますが、それは、そのような性格が自律神経のバランスを乱しやすいからだということだそうです。
自律神経が乱れることは、身体にさまざまな影響を与えますが、毛髪サイクルにもやはり悪影響があるようです。そのため、うつ病になってしまうような神経質な人の場合、春になると抜け毛が増える可能性があると考えられているようです。
6.花粉症の人
花粉症というと昔は、「身体の中にたまった花粉が限界量を超えると発症する」などといわれていました。ただ、この考え方だと、花粉の多い地方にいる人やお年寄りはみんな、花粉症ということになってしまい、あまり合理的な考え方とは言えないようです。
実際には、花粉はきっかけであって、それを受け入れる身体の側に問題があると考える方が一般的になってきています。人間の身体には免疫機能という身体を守るための重要な機能があります。
免疫機能は、体外から入ってくる異物(細菌やウィルスなど)を排除する作用がありますが、その機能が異常に強くなってしまうと、ハウスダストや花粉などをも、必要以上に体外に出そうとしてしまいます。
それが花粉症などのアレルギーになる原因だと考えられているのですが、自律神経のバランスが乱れやすい人は、花粉症になりやすいと考えられています。そして、自律神経が乱れることは、抜け毛が増える要因なってしまいます。
7.環境が変わる人
春になって新生活が始まるという人も、抜け毛が増える可能性があるということです。これも環境変化によるストレスが原因だと思われているのですが、特に引っ越して生活環境自体が変わってしまうような人は要注意です。
春先の抜け毛を予防するための方法について
春になると抜け毛が増える原因については分かっていただけたことと思いますが、それでは、春先の抜け毛を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。
規則正しい生活をする
春先になると自律神経のバランスが乱れやすいということでしたが、不規則な生活をしていると、自律神経のバランスが乱れることをさらに助長してしまいます。
特に、大学に入学して一人暮らしを始めたりすると、それまであった門限などがなくったり、また、授業のカリキュラムも自分で組めるため、朝起きる時間も不規則になったりします。
若いから大丈夫と思われるかもしれませんが、いわゆる男性型脱毛症(AGA)は、早い人の場合、20代から始まるということです。20代のときに不規則な生活を続けていると、将来の男性型脱毛症のリスクが上昇することともなりかねないので注意が必要です。
睡眠リズムを整える
規則正しい生活の基本は、どれくらい寝るのかということといつ寝るのかということです。どういうことかと言うと、睡眠時間さえ確保できていれば、どの時間帯に寝てもいいという問題ではないということです。
というのは、人間が寝ている間に身体を修復したり回復させたりするには、成長ホルモンの分泌が欠かせないからです。成長ホルモンは成長期にのみ分泌されるわけではなく、生きている間はずっと分泌されるものです。
そして、成長ホルモンには分泌されるゴールデンタイムと呼ばれるものがあります。それは、夜中の10時から明け午前2時の間だとされています。
つまり、この時間帯に寝ていることが重要だということなのです。忙しくしていると夜の10時に寝るのは難しいかもしれませんが、せめて日付が変わるまでには布団に入っていたいものです。
朝日を浴びる
人間にはいわゆる体内時計というものがありますが、この体内時計は25時間で設定されているということなのです。そのため、調整しないとどんどんずれていってしまうこととなります。
そして、体内時計を調整するために欠かせないのが、朝日を浴びることだということです。うつの治療の際にも朝日を浴びることが励行されますが、それには体内時計をリセットするという意味が含まれているということです。
食習慣の見直し
人間の身体は食べ物からできており、それに関しては髪の毛も同様です。そのため、何を食べるかということが、抜け毛の予防にとっても重要となってきます。
ジャンクフードやコンビニ弁当、外食ばかりだと栄養バランスが悪くなってしまうので、適度に自炊をしたり、日常の食事で不足しがちなビタミンやミネラルを補うため、フレッシュな野菜や果物を摂るようにしましょう。
ただ、1日に必要とされる野菜の量は350gともいわれており、食事だけで賄うのはなかなか大変だと思います。そのようなときには、サプリメントを利用するのも一つの手です。
適度に運動をする
春になると抜け毛が増える原因としては、血行不良もその一つとして挙げられていました。そのため、適度に身体を動かすことによって、全身の血液循環をよくしてあげるといいでしょう。
特に、「足は第二の心臓」などといわれるように、ふくらはぎの筋肉を刺激してあげると、より効果的に血液循環を改善することが期待できます。
足は心臓から一番遠い上に、重力に逆らって血液を上に送り返さなければならないため、より強い働きが求められるというわけなのです。
忙しくて運動をする時間が取れないという方は、たとえばエスカレーターを使わずに階段を使うとか、一駅前で下りて歩いて帰るなどといった工夫をするとよいでしょう。
湯船に浸かって温まる
お勤めで忙しい方など、毎日の入浴をシャワーだけで済ませているという方も多いことと思います。ただ、湯船に浸かることにはいろいろなメリットがあるので、可能な限りは湯船に浸かるようにしたいものです。
湯船に浸かるメリットとしては、あたり前ですが体が温まるという効果があげられます。身体が温まれば血行がよくなるので、頭皮の状態を改善する効果も期待できます。
また、身体が温まることによってリラックスできると、不幸交感神経が優位となります。副交感神経が優位になると血管が拡張するため、血行が良くなり血圧が低下します。
さらに、副交感神経が優位になることで、睡眠の質が向上することも期待できます。昔から湯治などといった治療法がありますが、抜け毛予防に関しても効果的だと言えそうです。
育毛剤や育毛サプリを使う手も!
春先の抜け毛を予防するためには、育毛剤や育毛用のサプリメントを使用するという手もあります。では、育毛剤や育毛サプリとはどのようなものなのでしょうか。また、発毛剤とはどう違うのでしょう。
育毛剤とは?
育毛剤はその名の通り、髪の毛を育むことを目的として製造されています。有効成分としては、ノコギリヤシやイソフラボン、カプサイシンといった自然由来のものが一般的です。
天然由来の成分であるため、化学的に製造された発毛剤ほどの発毛効果はありませんが、その分、副作用などのリスクが少ないというメリットがあります。
育毛サプリとは?
育毛サプリも育毛剤と同様、髪の毛を育てることを目的としています。日常生活で不足しがちなビタミンやミネラル、亜鉛などを含んだ商品が一般的です。
特に亜鉛は抜け毛予防に効果的です。亜鉛は「ジヒドロテストステロン」という毛を生やす細胞、毛母細胞の働きを低下させるホルモンを抑制する効果があります。
亜鉛は普段の食事からはなかなか摂取出来ず、さらに体に溜め込むことが出来ないため定期的に摂取するにはサプリメントが効果的なんです。
直接発毛という効果がみられる訳ではありませんが、栄養バランスを整えることによって、発毛環境を整備するといった目的があります。やはり天然由来の成分が多いため、副作用のリスクが少ないですし、抜け毛予防だけでなく、健康目的で使用することも可能です。
発毛剤とは?
発毛剤はその名の通り、発毛することに特化した医薬品のことで、日本では有効成分として、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3種類のみが認可されています。
基本的には男性型脱毛症の治療薬であり、化学的に製造されていることから、育毛剤や育毛サプリと比較すると副作用のリスクが高いということです。そのため、原則として医師の指導下で用いる必要があります。
育毛剤と発毛剤のどちらを使えばいい?
育毛剤は基本的に、髪の毛を生やすというよりは、今ある髪の毛を強く育てることを目的としています。そのため、ある程度進行してしまった薄毛対しては、効果が少ないです。
「最近抜け毛が増えてきたな」とか「将来の薄毛を予防しておきたいな」というような方は、育毛剤を用いるとよいでしょう。ある程度薄毛が進行してしまったような方は、薄毛治療専門の病院やクリニックで相談するようにしましょう。
抜け毛予防には健康が第一です!
春になると抜け毛が増える原因とその対処法について見てきましたが、いかがだったでしょうか。遺伝などのどうしようもない理由はあるものの、抜け毛に関しても、やはり健康状態が影響することが分かって頂けたのではないかと思います。
睡眠不足や疲労をため込みすぎず、適度に運動をしたりストレスを発散することで、健康な状態を保つことが、抜け毛予防にとってもっとも重要だと言えそうですね。