
冬になってお風呂で髪の毛を洗っていたらふと排水溝につまる髪の毛の量が増えていて驚いたという経験はございませんか?
実際に、秋から冬にかけては、普段より抜け毛が増えるといったデータもあります。では、なぜ冬になると抜け毛が増えてしまうのでしょうか。
今日は冬に抜け毛が増える原因と対処法についてご紹介しますので参考にしてみてください。
そもそも抜け毛とは?
人間の生活サイクルにおいて、抜け毛は必ずしも異常なことではありません。髪の毛にも毛周期と呼ばれるサイクルがあり、抜ける時期に来た髪の毛は自然と抜け落ちていくのです。では、どの程度の抜け毛なら許容範囲なのでしょうか。
1日に100本前後なら問題ない
正常な毛周期の場合、1日に100本程度の抜け毛が見られます。頭髪は健康で若いうちには10万本はあると言われているので、1日に100本程度抜けたところで、直ちに薄毛が気になるということはありません。
冬場には抜け毛の量が増えるもの
健康な方でも、秋から冬にかけては通常の2倍から3倍の抜け毛が増えるというデータがあります。
これに関しては、人間も動物であってみれば、換毛期の名残が残っているのかもしれません。犬や猫の毛が春や秋に生え換わるのと同じことですね。
そのため、秋から冬に掛けてはいつもより抜け毛が多くなるのは仕方がないという割り切りも必要です。
男女ともに頭を悩ませる「脱毛症」とは?
薄毛というと男性だけの問題のように思いがちですが、実は中年期以降の女性にとっても深刻な問題となっています。「髪は女性の命」「緑の黒髪」などと言われるように、美しく豊かな髪の毛は、女性らしさの象徴でもあります。では、男女ともに悩みの種となる脱毛症とはなんなのでしょう。
男性型脱毛症とは?
男性型脱毛症は、その名の通り男性に見られる脱毛症のことです。中年期のみならず、20代の若い男性にも見られる症状であり、多くの男性の悩みとなっています。まずは男性型脱毛症の原因について見ていきましょう。
ジヒドロテストステロンが抜け毛を増やす!?
ジヒドロテストステロンとは、あまり耳馴染みのない言葉だと思います。でも、テストステロンという言葉なら聞いたことがあるのではないでしょうか。テストステロンは男性ホルモンの一種で、いわゆる「男性らしさ」を形作るものであると言われています。
女性に比べて、男性の骨格ががっしりとしていたり、体毛が濃かったり、筋肉質であったりするのは、女性よりも男性の方が男性ホルモンの分泌量が多いからだと言われています。
この男性ホルモンが、変換酵素である5αリダクターゼという物質によって、より強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンへと変わると、その作用によって抜け毛が増してしまうということが分かってきています。
ただ、なぜ5αリダクターゼが分泌されるのかについては、残念ながら今のところよく分かっていません。また、男性型脱毛症が起こる要因については、生活習慣なども関わってきます。
ストレスが抜け毛を増やす!?
ストレスフルな生活をしていると、髪の毛になんらかの異常が現れるというのは、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。白髪だらけになったり、髪の毛が抜けてしまったりするというのがそれにあたります。
では、なぜストレスが溜まると、髪の毛の状態に影響を与えてしまうのでしょうか。それには自律神経の働きが大きく関わってきます。
自律神経とは?
自律神経とは、交感神経と副交感神経の2つからなるもので、私たちの生命活動にとって、なくてはならない働きをしてくれています。
例えば体温を調節したり、血液の循環(血圧)をコントロールしたり、内臓機能が円滑に働くようにしたりといったことは、全て自律神経の働きによって管理されています。
日中、活動的に動いているときには交感神経が、夜になって身体を休めるときには副交感神経が優位になるというのが、通常の自律神経のバランスです。
ところが、残業で夜が遅くなってしまったり、過酷な労働環境に置かれていたりといったストレスによって、この自律神経のバランスが乱れてきます。具体的には、交感神経優位の状態が続いてしまいます。
そうなると、夜寝るときになっても、身体はアクセルを踏みっぱなしの状態になってしまうため、身体が休まらずに毛周期にも異常が出てしまうということなのです。
身体の回復や修復、細胞分裂などは夜寝ている時に活発に行われます。そのため、副交感神経が優位にならないと、そういった修復作業などが滞ってしまうのです。
女性にも男性型脱毛症が見られる!?
女性なのに男性型脱毛症とはおかしな話ですが、実際に「女性男性型脱毛症」と呼ばれる症状があります。ただ、女性男性型脱毛症の場合は、男性型脱毛症の場合と少し原因や髪の抜け方が異なっています。
女性男性型脱毛症の抜け毛の特徴
男性型脱毛症の場合、いわゆるM字はげやO字はげと言って、生え際が明らかに後退してきたり、頭頂部から髪の毛がなくなってきたりといったことが見られます。
ところが、女性男性型脱毛症の場合には、そのような局所のはげ上がりが見られることはあまりなく、全体的に髪のボリュームが低下するといった特徴があります。
女性男性型脱毛症の好発年齢
男性型脱毛症の場合は、早い人だと20代から見られるのですが、女性男性型脱毛症の場合は、20代に見られるようなことはあまりなくて、一般的には中年期以降に見られることが多いです。
女性男性型脱毛症の原因はなに?
女性男性型脱毛症には「男性型脱毛症」という言葉が含まれていますが、髪の毛の抜け方が男性と異なれば、原因も男性型脱毛症の場合とは若干異なっています。では、女性男性型脱毛症の原因としては、どのようなことが考えられるのでしょうか。
女性ホルモンの分泌量が低下する
男性ホルモンが男性らしさを司っているのに対して、女性ホルモンはいわゆる女性らしさを司っています。それだけでなく、子どもを産むための生理周期なども司っていることはよく知られていることだと思います。
ところが、中年期以降になると、この女性ホルモンの分泌量が低下してくる、いわゆる「更年期」を迎えることとなります。更年期の女性にはさまざまなトラブルが現れます。
更年期の女性に現れるトラブルのことを更年期障害と言いますが、急に身体が熱くなってしまうホットフラッシュや、不安・イライラといった精神的な障害のほかに、抜け毛が増えてしまうことも分かっています。
ストレスは男女共通の原因
男性型脱毛症と女性男性型脱毛症は髪の毛の抜け方やそのメカニズムが異なっていますが、ストレスに関しては女性についても男性同様に、抜け毛を増してしまう要因となります。
最近は晩婚化や高齢出産が増えていることもあり、出産や育児にともなうストレスによって抜け毛が増えてしまうことがあるということです。
また、共稼ぎの世帯が増え、女性の社会進出が盛んになったことから、肉体疲労や社会的環境によるストレスによって、抜け毛が増えることにもつながっているのでしょう。
冬になると抜け毛が増えてしまうのはなぜ?
それでは、今回のメインテーマである冬の抜け毛について見ていきましょう。冬になると抜け毛が増えてしまう人には、どのような特徴が見られるのでしょうか。
乾燥している
冬場の一つの特徴としては、その他の季節と比べて空気が著しく乾燥していることがあげられるのではないでしょうか。空気が乾燥していると、当然ながら頭皮も乾燥することとなります。
よく化粧品のコマーシャルなどで、「お肌には潤いが欠かせません!」などと言われますが、それは頭皮にとっても同じこと。頭皮が乾燥すると「頭皮環境」が悪化してしまいます。
頭皮環境が悪化してしまうと、ちょっとした外力によって頭皮に傷がついて炎症がおこったり、かゆみが出たりします。そして、かゆいからといって頭を掻くことによって、抜け毛が増えてしまう訳です。
また、空気が乾燥していると、髪の毛自体の水分量も少なくなってしまい、ブラッシングをしたり服を脱いだりするときの摩擦によって、髪の毛が切れたり抜けやすくなってしまうのです。
血行不良
冬の朝、伸びをして足がつった、などといった経験のある方はいらっしゃいませんでしょうか。あたりまえですが冬は寒いので、無意識のうちに身体に力が入ってしまいます。
それでなくても、寝ている時というのは変な言い方ですが、最も「死に近い」状態です。というのは、寝ている間には血圧が低下し、体温が下がり、心拍数も低くなるからです。
血圧が低下して体温が下がると筋肉も固くなってしまい、そのようなときに無理な力を加えると簡単に足などがつってしまうという訳です。
そして、血行が悪くなることは抜け毛ともリンクしてくることが分かっています。なぜなら、血液が全身に酸素と栄養を運んでくれているからです。
そのため、血液循環が悪くなったところには、栄養状態の低下が発生するのです。それが頭に見られれば頭皮環境の悪化につながり、結果として抜け毛が増えてしまうという訳です。
皮脂の増加?
冬は汗をかくことも少なくなるため皮脂量も減っているように感じます。でも、冬は汗をかかないため毛穴に皮脂が詰まりやすくなってしまいます。つまり、冬は頭皮に皮脂が溜まりやすい状況と言えるでしょう。
皮脂の増加によって毛穴にほこりなどが付着することで、老廃物の排出が滞ってしまい、髪の毛が抜けやすくなってしまうという論理です。
ただ、現在では皮脂が溜まることが直ちに抜け毛につながる訳ではないと言われています。ただし、皮膚炎の原因の一つであるマラセチアという真菌の一種にとっては、皮脂が栄養源となっているそうです。
もしも、マラセチアによる皮膚炎が見られる場合には、それが抜け毛の原因となることがありますので、皮脂にともなう頭のかゆみが見られるときには、速やかに皮膚科を受診するようにしましょう。
冬の抜け毛にはどう対処したらいい?
冬になると抜け毛が増える原因については分かって頂けたことと思いますが、それでは冬の抜け毛にはどのように対処したらいいのでしょうか。
乾燥から頭皮を守る
冬場の特徴の一つが空気の感想であることは先述したとおりです。空気が乾燥すれば当然、頭皮や髪の毛も乾燥しやすくなってしまいます。そのため、保湿を意識するようにしましょう。
お部屋にいるときには加湿器をつけるなどして、外出の際には帽子をかぶって乾燥から髪の毛を守るとよいでしょう。また、ドライヤーの熱も髪の毛や頭皮から水分を奪ってしまうので、過度に行わないようにしましょう。
血行を促進する
血液は全身に栄養と酸素を運んでくれているので、抜け毛予防だけでなく、健康のためにも血行を促進することを意識しましょう。特に冬場は寒いので、冷えへの対策が必要となります。
血行を促進するためには、シャワーだけでなく、湯船につかってリラックスすることがおススメです。また、「足は第二の心臓」と言われることから、ふくらはぎの筋肉を刺激してあげましょう。
最も簡単な方法はウォーキングです。歩けばふくらはぎの筋肉が収縮するので、全身の血行促進につながりますし、歩くときには全身の80%もの筋肉が使われるので、理想的な全身運動といえます。
健康のためにも、ぜひ日常生活で歩く機会を増やすとよいでしょう。仕事が忙しくてそんな時間がないという人は、普段エスカレーターを使う場所で階段を使ったり、一駅前で電車を降りて歩いたりするなどの工夫をすると良いでしょう。
育毛剤や育毛サプリメントを利用する
育毛剤や育毛サプリメントには、自然由来のノコギリヤシや大豆イソフラボン、カプサイシン、ビタミンやミネラル、亜鉛といった有効成分が含まれています。
ノコギリヤシには、男性ホルモンの過度の分泌を抑える効果が、大豆イソフラボンには女性ホルモンと同様の効果が、カプサイシンには血行を促進する効果が期待されています。
また、日常生活で不足しがちなビタミンやミネラル、亜鉛などの栄養素を効率よく摂取することが可能となっています。なにより、天然由来の成分からできているので、副作用の心配をしなくても良いという点もメリットとなっています。
シャンプーを変えてみる
市販のシャンプーには、化学的成分が含まれていることが多く、それが頭皮や髪の毛へのダメージとなっていることもよくあります。
冬場に抜け毛の量があまりにも多いようなときには、天然由来の成分からできたシャンプーや、育毛シャンプーなどを利用するのも一つの手です。
あまりに抜け毛がひどいときには専門家に相談を!
以上、冬になると抜け毛が増える原因や、その対処法について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。意外なことが抜け毛の原因ともなることが分かって頂けたのではないでしょうか。
冬の抜け毛への対処法としては育毛剤などを利用する方法もありますが、進行してしまった脱毛症に対しては効果が薄いので、そのような場合には薄毛治療のクリニックなどで相談するようにして下さいね。